テクニカル指標の中のオシレーター系に属する「MACD(マックデイー)」は、移動平均線をベースに、さらに精度の高い分析を行うために発明されたものです、今回は、この「MACD」の見方やトレードでの使い方について分かりやすく解説します。
「MACD」は、アメリカの投資家であるジェラルド・アペル氏によって発明されたものです。
その精度の高さから愛用する投資家も多い分析指標です。
MACDは、「Moving Average Convergence Divergence」の略で、「マックデイー」とも呼ばれます。
MACDの意味と使い方
「Convergence」は「収束」、「Divergence」は「拡散」を意味します。
ですから日本語で、「移動平均線収束拡散」と呼びます。
MACDは、より新しいデータに重きを置いているので、値動きに素早く反応することができます。
そのため、トレンドの初期段階を予測するのに役立つテクニカル指標です。
では、詳しく見てみましょう。
MACDの意味とは?
MACDで使用されるラインは2種類です。
- MACD(指標の名前「MACD」と同じ)
- シグナル
※「ライン」の名前と「指標」の名前が一緒で、紛らわしいので注意してください。
この2本のラインの算出方法が違います。
「MACD」(ラインの名前)の算出に使われているのは、単純移動平均線(SMA)ではなく、指数平滑移動平均線(EMA)です。
計算式は、以下の通りです。
「EMA」についてここでは、簡単に説明しておきます。
EMA(指数平滑移動平均線)とは、直近の価格に比重をかけて計算する移動平均線のことです。
SMA(単純移動平均線)より、直近の値動きを、より強く反映するため、トレンドの転換を早めに察知できる、と言われます。
次に、「シグナル」のラインは以下のもので算出されています。
それぞれの期間設定は、以下のようなものが一般的です。
取引画面でMACDを表示させると、デフォルトでは、「12・26・9」となっていることが多いので、初心者の方は、まずデフォルトの状態から始めると良いと思います。
※ちなみに、上記の画面は「12・26・9」のデフォルトの状態の表示です。
トレードでの使い方は?
ここからは、トレードにおける、MACDの基本的な使い方についてお話します。
ゴールデンクロス
上図の黄色点線の円では、MACDがシグナルを「下」から「上」へ抜けています。
これを「ゴールデンクロス」と言い、「買い」のサインとされています。
この2つのラインの交差する角度が大きければ大きいほど、その信頼度は大きくなります。
デッドクロスとは?
上図の緑色点線の円では、MACDがシグナルを「上」から「下」に抜けています。
これを「デッドクロス」と言い、「売り」のサインとされています。
これも、ゴールデンクロス同様、交差する角度が大きければ大きいいほど、その信頼度も大きくなります。
ヒストグラムとは?
上図の赤色や緑色の棒グラフを「ヒストグラム」と言います。
これは、MACDからシグナルの値を引いたものです。
上に伸びているときは「上昇トレンド」、下に伸びているときは「下降トレンド」を表しています。
ヒストグラムの長さが長いほど、大きなトレンドであることを示します。
また、ヒストグラムの値が0のときに、MACDとシグナルの「交差」が起こります。
つまり、ヒストグラムの値が0に近づくと、トレンドが反転するサインと見て取れます。
ダイバージェンスとは?
上図の黄色点線枠を見てください。
ローソク足では価格が上昇しているのに、MACDのラインは下降しています。
このように、相場の状態と、MACDの状態が、逆行することを「ダイバージェンス」と言います。
ダイバージェンスは相場の転換を示します。
上の図のように、価格が上昇、MACDが下降の場合は「買いのサイン」。
価格が下降、MACDが上昇の場合は「売りのサイン」とされます。
MACDでトレードする際の注意点
以上、「MACD」について解説しました。
最後に、MACDをトレードに用いる場合の注意点をお話します。
MACDは、近々の価格を反映するものです。
ですから、2つのラインの交差する瞬間を察知し、トレンドの反転を予測してトレードする「オシレーター系(逆張り)」のテクニカル指標になります。
トレンドの反転は、2つのラインだけでなく、ヒストグラムが0になるタイミングを捉えることも重要になります。
この際、他のテクニカル指標同様、「ダマシ」には注意が必要です。
上図の黄色点線円では、ゴールデンクロスと思わせて、トレンドが出ることなく、すぐにデッドクロスが発生して、下降トレンドになっています。
このように、トレンドが発生しない「レンジ相場」で、注文を入れると、自分が思った方向のトレンドにならない場合も多々あります。
このような「ダマシ」に引っかかった場合は、すぐに「損切り」した方が良いでしょう。
ですから、MACDを「逆張り」で使用するのではなく、トレンドが発生したことを確認してから、そのトレンドに乗る「順張り」として使用することも良いでしょう。
この際、大きなトレンドにならなかった場合、つまり、ヒストグラムの長さが短いまま推移している場合は、小さな利益で決済するか、小さい損失のうちに「損切り」することをお勧めします。
初心者の方にとっては、「逆張り」でトレードすることは、そもそも難しいことなのです。
以上、「MACD」の意味や使い方について解説しました。
この記事は、あくまでも、「MACD」の意味や使い方を解説したものです。
「MACDを使えば、トレードで勝てますよ」という記事ではありません。
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