FXにおける「スプレッド」は、非常にその額が小さいですが、大きな取引を行う際には、無視できないものです。今回は「スプレッド」の仕組みや重要性について分かりやすく解説します。
「スプレッド」とは、通貨の「買値」と「売値」の差です。
つまり、通貨は「買値」と「売値」の価格が違います。
この差額は、取引をする際の「コスト」になりますので、理解しておく必要があります。
では、詳しく見ていきましょう。
- スプレッドの意味が分かる
- スプレッドによってコストが違うことが分かる
- スプレッドの重要性が分かる
取引にかかるコスト「スプレッド」とは?

「スプレッド」の価格は、非常に小さいものですが、多くの回数を取引する場合、多額の通貨で鳥に帰する場合、決して無視できないものです。
では詳しく見ていきましょう。
スプレッドの仕組みとは?
「スプレッド」とは、訳すと「広がり」という意味になります。
FXでは、通貨ペアを売るときに適応される「売値」を「Bid」と言います。
また、買うときに適応される「買値」のことを「Ask]と言います。
この「Bid(売値)」と、「Ask(買値)」の「差額」(広がり)が「スプレッド」となります。

例えば、「米ドル/円」の通貨ペアで見てみましょう。
米ドルのBid(売値)が104.753円、Ask(買値)が104.755円の場合、
スプレッドは、104.755円ー104.753円=0.002円になります。
FXでは、この差額が小さいことを、「スプレッドが狭い」、
差額が大きいことを、「スプレッドは広い」と言います。
「通貨を買う/売る」「通貨を売る/買う」という行為によって、取引は完結しますので、
その際に、必ず「スプレッド」が発生します。
スプレッドが狭い方が、取引にかかる「コスト」は安く済みます。
スプレッドの額は、一定ではなく、FX会社によって違います。
スプレッドの単位
先の例では、スプレッドを0.002円と表現しましたが、
多くのFX会社では、「銭」「pips」(ピップス)という単位を使います。
1円=100銭なので、0.002円は0.2銭になります。
「銭」の単位を使う場合は、単に日本の通貨を取引する人が分かりやすいからです。
ですから、FX会社によっては、「pips」で統一している場合もあります。
1pips=1銭ですので、単位が変わっても金額は同じだと考えて良いでしょう。
スプレッドは実際いくらかかる?
では、スプレッドによって、どのくらいコストがかかるのか、具体的に見ていきましょう。
多くのFX会社の最低取引単位は1000通貨単位です。
つまり「ドル/円」の通貨ペアの場合、最低1000ドルからの取引になります。
スプレッドは、1ドルの取引にかかるコストです。
ドルの売買のスプレッドは、0.002円(0.2銭)でしたから、
0.002円×1000=2円が、一度の取引にかかるスプレッドということになります。
この例だと、「たった2円でしょ」と思われるかもしれませんが、
FXの取引では、1万・10万・100万通貨単位で、取引することは多いのです。
100万ドルでの取引では、1回の取引で、
100万×0.002円(0.2銭)=2000円となります。
短時間で、何度も取引をすることもありますから、結構なコストになるのです。
では、もっと具体的に、実際に取引した場合、スプレッドの違いが損益に、どれだけ影響するのか、見ていきましょう、
スプレッドが「0.15銭」の場合
10万ドルの取引を行うこととします。
今、ドルの買値=100円です。
売値は、スプレッドが0.15銭なので、100-0.15銭(0.0015円)=99.9985円です。
つまり、買値=100円、売値=99.9985円
今後、ドルの買値が高くなると予想して、10万通貨の買いポジションを建てます。
10万ドルは、日本円では10,000,000(1千万円)です。
予想通り買値=100.5円になった時に、10万通貨を売って決済します。

スプレッドがなければ、
10万ドル×100.5円=10,050,000円となり、50000円の利益になりますが、
0.15銭(0.0015円)のスプレッドがあるので、
売値は、100.5円ー0.15銭(0.0015円)=100.4985円となり、
10万ドル×100.4985円=10,049,850円
49850円が実際の利益になります。
スプレッドが「0.5銭」の場合
先の例と同様に取引します。
10万ドルの取引を行うこととします。
今、ドルの買値=100円です。
売値は、スプレッドが0.5銭なので、100-0.5銭(0.005円)=99.4950円です。
つまり、買値=100円、売値=99.4950円
今後、ドルの買値が高くなると予想して、10万通貨の買いポジションを建てます。
10万ドルは、日本円では10,000,000(1千万円)です。
予想通り買値=100.5円になった時に、10万通貨を売って決済します。
売値は、100.5円ー0.5銭(0.005円)=100.4950円となり、
10万ドル×100.4950円=10,049,500円
49500円が実際の利益になります。
このように、スプレッドが0.35銭違うだけで、同じ取引をした場合でも、
350円も利益の差が出るのです。
ここで、忘れてはいけないことは、この差が、たった「1回の取引」で生じる、ということです。
100回取引を行えば、当然、35000円の差になってしまいますね。
通貨ペアによってスプレッドは違う?
スプレッドの値は、取引する「通貨ペア」によっても異なります。
大きな理由は、通貨の「人気」です。
人気が高ければ、その「流動性」は大きくなります。
例えば、「米ドル/円」は、人気が高く、その流動性は高いので、スプレッドが0.2銭と狭いのですが、
「NZドル/円」の取引は、比較的人気が低いので、スプレッドが1.2銭などと、広く設定しているFX会社は多いのです。
スプレッドはどのように決まる?
実際のスプレッドは、外国為替市場のレートによって変動します。
ですが、投資家が安定して、取引ができるように、FX会社では、市場のレートを基に、
原則的にスプレッドを固定しています。
FX会社では、各通貨ペアのスプレッドをサイトなどで、公開しています。
基本的に、「外為市場のレートに関わらず、公開しているスプレッド以下にする」ことになっています。
「原則的に」ということは、例外もあります。
以下のようなケースの場合、「例外的に」スプレッドが、公開している値より、大きくなることがあります。
①市場が急変した場合
クーデターなどの政変、震災などの天変地異、その他の外部要因により、市場が急変した場合。
②市場の流動性が低下している時期
週初めや週末、年末年始、クリスマス時期など、取引が低下する時期
③重要な経済指標が発表させる時間帯
このように「例外」はありますが、あくまでも「例外」ですので、ほとんどの期間は、固定されたスプレッドで、取引することができます。
以上、スプレッドについて解説しました。スプレッドはFX会社によっても異なり、また、通貨ペアによっても異なります。
スプレッドを比較したうえで、FX会社を決めることをお勧めします。
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