今回は、FXでよく使われる「ポジション」という言葉について、分かりやすく解説していきます。
「ポジション」という言葉は普通、「位置」「場所」という意味で使われますが、FXでは、「(ある)通貨を買っている状態」あるいは、「(ある)通貨を売っている状態」のことを「ポジション」と言います。
FXで新規に取引する場合、以下の2つポジションのどちらかからでも、スタートすることができます。
- ロングポジション(買いポジション)
- ショートポジション(売りポジション)
それぞれ、詳しく見ていきましょう
- ロングポジション(買いポジション)が分かる
- ショートポジション(売りポジション)が分かる
- ポジションの種類が分かる
ロングポジションとは?
ロングポジションとは、「買いポジション」のことです。
※また、ロングポジションを保有している状態を、「買い建玉(たてぎょく)を保有している」という言い方もします。ややこしいですね。
例えば、「米ドル/円」の通貨ペアの場合、外貨である米ドルを買っている状態を、ロングポジション(買いポジション)と言います。

また、ドルを買っている状態を作ることを、「買いポジションを建てる」という言い方をします。
FXでは、ポジションを建てただけでは、利益や損失は出ません。
例えば、「ドル安・円高」の時に、買いポジションを建てた場合、「ドル高・円安」の時に、米ドルを売るという、決済(ポジションクローズ)をすると、その差の分だけ利益になります。
さらに具体的にお話しましょう。
※話を分かりやすくするために、今回は「スプレッド」は考慮していません。

話が分かりやすいように、今「1ドル=100円」だとしましょう。
今後、「ドル高・円安」になる、と予想したなら、ドルのロングポジション(買いポジション)を建てます。
予想通り、「1ドル=110円」(ドル高・円安)になった時に、ドルを売る、という決済をすることで、10万円の利益を得ることができます。
上のイラストでは、1万ドルを買うのに、実際に100万円の現金が必要なように思えるかもしれませんね。
ですが、実際には100万円の現金は必要ありません。
「証拠金」という、FX独特のシステムで、レバリッジを効かせることができるので、実際にFXの口座に必要な現金はもっと少なくてもいいのです。
ちょっと説明すると、4万円の「証拠金」さえがあれば、最大25倍の100万円分の取引が可能になります。
これをFXでは、「25倍のレバリッジを効かせる」、と言います。最大25倍ですから、10倍のレバリッジを効かせることも、もちろんできます。
この「証拠金」と「レバリッジを効かせる」ということが、FXの最大の特徴と言われています。
では次に、ショートポジションについて見てみましょう。
ショートポジションとは?
ショートポジションとは、「売りポジション」のことです。
※また、ショートポジションを保有している状態のことを、「売り建玉(たてぎょく)を保有している」とも言います。
外貨である米ドルを売っている状態を、ショートポジション(売りポジション)と言います。

「ドル高・円安」の時に、米ドルを売るという、ショートポジションを建てた場合、「ドル安・円高」になった時に、買い戻すという決済(ポジションクローズ)をすることで、その差の分だけ利益になります。
さらに具体的に言うと、こういうことです。

つまり10万円の利益が出たことになります。
ここで、疑問が出ると思います。
「持ってもいないドルをどうやって売るのか?」
これがFXの特徴です。持ってもいないドルを「空売り」することができるのです。
つまり、実際に持っていない1万ドル(100万円分)を売って、1ドル=90円になった時に、
1万ドル(90万円分)を買い戻すことで、10万円の利益を生むことができるのです。
ドルをFX会社から借りて売って、後で買い戻して返す、というイメージでいいと思います。
とはいえ、1万ドル分の日本円100万円は必要です。
ですが、先ほどお話した、25倍のレバレッジを効かせるのなら、
4万円の証拠金だけあればいいのです。
先ほども言いましたように、FXでは、投資をロングポジション・ショートポジションのどちらから始めるのかを選ぶことができます。
近々「ドル高・円安」に転じるな、と思えば、ドル買いのロングポジションから、
近々「ドル安・円高」になるな、と思えば、ドル売りのショートポジションから始めればいいのです。
ロングポジション(買いポジション)から始めるとしても、実際に100万円の現金が必要ではありませんし、
ショートポジションから始めるにしても、実際に1万ドルを持っている必要もありません。
これらFXならではの特徴が、FXを気楽に始められる要因でしょう。
なぜ「ショート」「ロング」なのか?
ここで、なぜ「売りポジション」のことを、「ショートポジション」、またなぜ「買いポジション」のことを「ロングポジション」と言うのかお話します。
これは、知っておくとトレードで役に立つと思います。
売りポジションは、価格の下落を予想した場合に建てます。
ですが、相場での下落は「足が速い」と言われています。
つまり、価格の下落は長くは続かず、すぐに上昇に転じてしまう、と考えられています。
このことから、「売りポジション」は、短い(ショート)期間だけ建てるべきだ、ということで「ショートポジション」と言われます。
逆に、価格の上昇は、比較的その期間が長い、と考えられています。
上昇の方が下落より長く続きやすい、ということです。
ですから、上昇を期待した場合に建てる「買いポジション」は、長い期間建てることができます。
つまり、ロング(長い)ポジションということになります。
以上、「ロングポジション(買いポジション)」「ショートポジション(買いポジション)」について解説しました。
FXでは、「ロング」「ショート」という言い方は、実際あまりされません。「買いポジション」「売りポジション」と呼ばれるのがスタンダードです。
初心者の方は、まずこの2つの「ポジション」について、理解できれば良いのですが、
他にも「ポジション」を使った言葉があるので、最後に簡単にお話します。
スクエアポジションとは?
「スクエアポジション」とは、ポジションがない状態、または、ポジションを閉じることを言います。
ノーポジションにする=ポジションをスクエアにする、というように使われます。
また、同じ数量で、「買いポジション」「売りポジション」の両方を建てて、
損益が動かないように「ロック」することも、「スクエアする」と言います。
ネットポジションとは?
「ネットポジション」とは、同一通貨の、「買いポジション」と「売りポジション」との「差」のことを言います。
例えば、「ドル/円」の通貨ペアで、買いポジションが3万通貨、売りポジションが1万通貨ある場合のネットポジションは、2万通貨の「買い持ち」となります。
また、買いポジションが2万通貨で、売りポジションが4万通貨ある場合のネットポジションは、3万通貨の「売り持ち」となります。
ポジション調整とは?
「ポジション調整」とは、保持している「ポジション」のバランスの調整するために、売買を行うことです。
売買ポジションの偏りがあると、相場変動によるリスクが高まるために、調整が行われます。
相場の変動に大きく関わる、重要な指標の発表前に、ポジション調整は多く見られます。
ちなみに、重要な経済指標は以下の通りです。
主な経済指標の種類
- 金利に関する指標(政策金利)
- 景気に関する指標(GDP、景況感調査、消費動向)
- 雇用に関する指標(雇用統計)
- 物価に関する指標(物価上昇率)
- 貿易に関する指標(貿易赤字)
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