FXでは、通貨の売買によって利益を上げるだけでなく、「スワップポイント」によって、「長期的に」利益を得ることもできます。今回は、この「スワップポイント」の意味や仕組みについて分かりやすく解説します。
今回は、FXでの取引の形の一つ「スワップポイント」について解説します。
スワップポイントの仕組みとは?
国によって、政策金利は違います。この「金利の差」によって発生するのが「スワップポイント」で、通貨の取引をしている間、毎日付与されるポイントです。
詳しく見ていきましょう。
金利差とスワップポイント
例えば、取引する通貨ペアが「米ドル/円」の場合、
アメリカの政策金利が3%、日本の金利が-0.1%なので、金利差は3.1%となります。
この金利差によって、スワップポイントが発生します。
ただし、これは、金利が高い方の外貨である、ドルの買いポジションを持っている場合です。
ドルの買いポジションを持っているかぎり、毎日スワップポイントを受け取ることができます。
スワップポイントは会社によって違う?
金利差によって、スワップポイントは決まりますが、実際の金利差通りの額になるわけではありません。
金利差を考慮して、それぞれのFX会社で、スワップポイントの額を設定しています。
つまり、その会社によって、受け取れるスワップポイントが違います。
以下は、FX会社10社のスワップポイント比較です。
※外貨を1万通貨の買いポジションで保持した場合、1日で付与される金額です。
会社 | 米ドル/円 | メキシコペソ/円 | リンク |
---|---|---|---|
107.14円 | 16.1円 | 公式サイトへ | |
101.52円 | 13.9円 | 公式サイトへ | |
100.83円 | 15.44円 | 公式サイトへ | |
100.83円 | 15.44円 | 公式サイトへ | |
100.79円 | 15円 | 公式サイトへ | |
100.28円 | 15.62円 | 公式サイトへ | |
96.31円 | 15.07円 | 公式サイトへ | |
97.38円 | 14.03円 | 公式サイトへ | |
95.86円 | 14.07円 | 公式サイトへ | |
95.76円 | 14.31円 | 公式サイトへ |
上記の金額は、2022年9月1日から10月5日までに、実際に付与された金額を平均したものです。
この金額は、会社ごとに「固定」されているわけでありません。金利差は日々変動します。
それに伴って、各社のスワップポイントも変動しますので注意が必要です。
また、会社によっては、メキシコペソ、トルコリラなど、いわゆる「新興国」の通貨の場合、
「10万通貨」を買った場合の金額になっていることもありますので、比較する際には、通貨単位にも注意してください。
新興国のスワップポイントは高い?
メキシコ、トルコ、南アフリカなどの「新興国」のスワップポイントは比較的高いことが多いです。
を例に見ていきましょう。
「米ドル/円」のペアで、1万通貨の買いポジションを保持していると、
107.14円のスワップポイント。
「メキシコペソ/円」のペアでは、同じ1万通貨では、16.1円です。
メキシコペソが低いように見えますがそうではありません。
それは、日本円に対しての通貨の価格が違うからです。
2022年10月19日現在。
1ドル=149.33円。
1万ドルのポジションを建てるためには、
149.33円×10000ドル=149万3300円の資金が必要になります。
最大25倍のレバレッジを効かせることができるので、実際に必要な資金(必要証拠金)は、
149万3300円÷25=約6万円
これだけの資金が必要となります。
では、メキシコペソの場合はどうでしょうか?
2022年10月19日現在。
1ペソ=7.45円。
多くのFX会社では、メキシコペソの場合、10万通貨からの取引になっているので、
10万ペソ=74万5000円になりますが、25倍のレバレッジを効かせると、実際必要な資金(必要証拠金)は、
74万5000円÷25=約3万円
となり、米ドルの取引より、「安く」取引できて、スワップポイントが高いことになります。
マイナスのポイントになる?
例えば、「メキシコペソ/円」の通貨ペアの場合、
メキシコペソの買いポジションを保持している間は、スワップポイントが付与されます。
ですが、反対にメキシコペソの売りポジションを保持していると、「マイナスのスワップポイント」が発生して、ポイントを支払わなければなりません。
では、ここから、スワップポイントのメリット・デメリットについて見てみましょう。
スワップポイントのメリット
スワップポイントの大きなメリットは、通貨の売買の取引とは違い、継続的に利益を生むことができます。
先に、金利差は日々変動すると言いましたが、日本の金利は世界でも最低水準です。
つまり、「〇〇〇/円」というペアの場合、ほぼスワップポイントを獲得できることになります。
余程のことがない限り、日本円より金利が低くなる通貨は無い、と考えて良いでしょう。
※ただし「ユーロ」もかなりの低水準なので、「ユーロ/円」で、スワップポイントを狙うのはお薦めできません。
では、具体的にどのくらいの利益を期待できるのでしょうか?
ここでは、
でのスワップポイントで計算してみます。
2022年10月19日現在、「米ドル/円」の買いスワップポイントは133円です。
1万通貨の取引の場合、1年間で見ると、
133円×365=4万8,545円 のポイントを得ることができます。
10万通貨での取引の場合は、10倍になるので、
48545円×10=48万5,450円となります。
「メキシコペソ/円」に場合は、16円ですので、
16×365日=5840円
ただし、ペソの場合は、10万通貨からの取引なので、
5840円×10倍=58,400円となります。
もちろん、ポイントは日々変動しますので、必ずしもこの金額になるとは限りません。
ですが、買いポジションを保持することで、安定した利益を得ることが可能です。
スワップポイントのデメリット
「スワップポイントだったら、損しないのでは?」と思われるかもしれませんが、当然デメリットもあります。
スワップポイントを得るには、「長期的に」買いポジションを保持する必要があります。
その場合、「含み損」を考慮する必要があるのです。
「含み損」を考慮した場合、多くの資金を用意しておく必要があります。
具体的に見てみましょう。
「米ドル/円」で、1万通貨の買いポジションを建てた場合、1日133円のスワップポイントが得られるのですが、そのために、どれだけの資金が必要になるでしょうか?
2022年10月19日現在、1ドル=149.33円。
1万ドル=149万3300円。
25倍のレバレッジを効かせても、
149万3300円÷25=約6万円。
つまり、1万ドルの買いポジションを建てるのに、最低6万円の資金(必要証拠金)が必要です。
また、ドルが1円安くなり「1ドル=148.33円」になった場合、「含み損」が1万円発生します。
さらにドルが下がれば、含み損も膨らむことになります。
「メキシコペソ/円」の場合はどうでしょう?
2022年10月19日現在、1ペソ=7.45円。
10万通貨の買いポジションを保持して、160円のスワップポイントを得るためには、
10万ペソ=74万5000円。
25倍のレバレッジを効かせると、
74万5000円÷25=約2万9800円。
10万ペソの買いポジションを建てるために、約2万9800円の資金(必要証拠金)が必要です。
ドルに比べて、資金は少なくて済みますね。
ですが、1ペソ=6.45円と、1円安くなると、「含み損」が10万円発生します。
下がり続ければ、「含み損」も当然増えます。
※実際にこのレート変動はありました。
決済しなければ、損失は確定しません。
だから、「また、上がるのを待てばいいんじゃない?」と思われるかもしれませんが、「含み損」がある程度の水準にまでなると「ロスカット」が発動して、強制的に決済されてしまいます。
つまり、通貨の売買のような「短期的な取引」に比べ、スワップポイントを狙う「長期的な取引」をする場合は、ロスカットを回避するため、より大きな資金を用意しておく必要があるのです。
米ドルのように、レートの変動が穏やかな通貨の場合は、大きな「含み損」も発生しにくい傾向にあります。
ですが、新興国の場合、国内情勢が安定していないこともあり、レートの変動が激しい、と言われています。
新興国の通貨は、大きなスワップポイントが得られる分、レートの変動には、充分注意が必要になります。
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