今回は、FXの最大の特徴である「証拠金」「レバレッジ」また「実効レバレッジ」について分かりやすく解説していきます。
分かりやすくするために、今「1ドル=100円」だとしましょう。
1万ドルの買いポジション(ドルを買う)を立てるためには、普通は100万円必要ですね。
ですが、FXでは100万円の現金は必要ありません。
どういうことでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
「証拠金」「レバレッジ」とは?
FXは、訳すと「外国為替証拠金取引」と言います。
取引に必要な資金のことを、FXでは「証拠金」と言います。
FXでは、少額の「証拠金」でも、「レバリッジを効かせる」ことによって、利益を大きくすることが可能です。
どういうことか詳しく見ていきましょう。
「証拠金」とは?
FXを始めるには、まずFX会社に口座を作ります。
そして、そのFX口座に、資金である「証拠金」を預け入れします。
これをもって、取引を開始することができます。
口座を作るときに預け入れる最低金額は、FX会社によって異なります。(ある会社では5000円が最低金額です)
また、取引する通貨のペア(例えば米ドル/日本円のペア)によって異なりますが、
取引の数量(例えば1000ドル買う、1000ドル売る)に対して、一定比率以上の証拠金を預け入れる決まりがあります。
これを「証拠金率」と言います。
「証拠金率」と「必要証拠金」とは?
証拠金率が4%だとしましょう。
取引する通貨ペアが「米ドル/円」で、仮に「1ドル=100円」だとします。
あなたが、1万ドルの取引をするためには、
100円×1万ドル×4%で、4万円の証拠金が必要になります。
このように、取引に最低限必要な証拠金を「必要証拠金」といいます。
ですから、あなたが初めに1万ドルの取引をしたいと思ったなら、FX会社の口座に4万円以上を預け入れる必要があるのです。
この4万円は、損失が発生した場合に決済できるよう、ポジションを保持している間は「拘束」されます。
最低いくらの証拠金が必要なのか?
上記の例では、1万通貨単位(ドルであれば1万ドル、ユーロであれば1万ユーロ)なので、4万円必要でした。
では、具体的に、最低いくらの証拠金があれば、取引を開始できるのでしょうか?
多くのFX会社では、最低の取引単位を、1000通貨単位にしています。
※最低の取引が1万通貨からの会社もあります。
通貨ペアが「ドル/円」の場合は、最低1000ドルから取引可能ということになります。
2022年10月6日現在、1ドル=144.57円です。
1000ドルの取引をするためには、144,570円が必要です。
ですが、必要証拠金は、この金額の4%なので、
144,570×4%=約5783円
つまり、約6000円あれば、「ドル/円」の取引ができます。
この金額は、もちろん取引する通貨ペアによって違ってきます。
通貨ペアを「メキシコペソ/円」にした場合も見てみましょう。
2022年10月現在、メキシコペソは1ペソ=7.2円です。
最低1000ペソの取引をするなら、
1000×7.2×4%=288円
「ペソ/円」の取引なら、最低約300円あればいいということになります。
※ただし、「メキシコペソ」や「トルコリラ」のように、円に対して価格が安い通貨の場合、最低取引の通貨単位が1万通貨から、という会社もあります。
では次に「レバレッジ」についてお話します。
レバレッジとは?
レバリッジを訳すと「てこの原理」です。
「てこの原理」を使えば、小さな力で、大きなものを動かすことができます。
転じて、小さな資金で、大きな取引をすることを「レバレッジ」と言います。
先ほどの例で、1000ドルの取引をするためには、最低その4%の証拠金約6000円が必要でした。
つまり、1000ドル分の日本円144,570円の1/25の資金があればいい、ということですね。
逆の言い方をすれば、6000円の25倍の取引ができる、ということになります。
このように、証拠金を何倍かにして、取引を行うことを「レバリッジを効かせる」と言います。
レバリッジを効かせるのは、25倍だけではなく、2倍・10倍・20倍と何倍でも選ぶことができます。
では、レバリッジを効かせると有利なことは何でしょうか?
25倍のレバリッジを効かせた場合を見てみましょう。
分かりやすいように、今「1ドル=100円」とします。
今後「ドル高・円安」になる、と予想したなら、
ドル買いのポジションを建てます。
1000ドルで建てるなら、必要な証拠金は4000円です。
予想通り「1ドル=110円」(ドル高・円安)になったところで、ドルを売って決済します。
110000円になって戻ってくるので、10000円の利益となります。
4000円の証拠金で、10000円の利益を上げることができました。
レバレッジを10倍に効かせた場合、同じ取引をするために、必要な証拠金は10000円となります。
じゃあ、いつも25倍のレバリッジを効かせたらいいんじゃない?
と思われるかもしれませんね。
ですが、そう簡単ではありません。損害を出す場合もあるからです。
レバリッジを効かせると危険なことも?
今「1ドル=100円」とします。
あなたのFX口座に6万円あるとしましょう。
25倍のレバリッジを効かせて1万ドルの取引をします。
今後「ドル高・円安」になると予想して、1万ドルの買いポジションを建てます。
1万ドル=100万円、なので、必要証拠金は4万円です。
ですが、予想に反して「1ドル=98円」の「ドル安・円高」になった場合、
2万円の「含み損」が発生します。
このまま決済しなければ、損害は確定しませんが、そうはいきません。
こうなった場合に発動されるのが、「ロスカット」です。
あなたの口座にある「資産」は6万円でした。
含み損が2万円発生したので、この時点での「純資産額」は4万円になります。
純資産額と必要証拠金が同額になると、ロスカットが発動して、強制的に決済されます。
※FX会社によって、基準は異なります。
つまり2万円の損害が「確定」します。
では、レバリッジを10倍に効かせた場合はどうなるでしょうか?
同じ額の必要証拠金4万円で、10倍のレバリッジを効かせた場合、4000ドルの取引ができます。
予想に反して「1ドル=98円」になった場合、ドルを売っても39万2000円にしかならないので、
8000円の「含み損」が発生します。
この場合、純資産額は5万2000円となります。
必要証拠金の4万円より純資産額が上回っているので、「ロスカット」は発動しません。
このように、同じ額の必要証拠金で取引する場合でも、レバリッジの効かせ方によって、損害が出た場合の状況は異なるのです。
大きなレバリッジを効かせると、大きな金額で取引はできます。
ですが、損害を出す場合のことを考えると、「ロスカット」を回避するために、大きな資金を口座に預けておく必要性が生まれるのです。
以上、レバレッジを効かせることの「メリット」「デメリット」についてお話しました。
「では、初心者はレバレッジを低く抑えたほうがいいのかな?」と考える方も多いでしょう。
ですが、現実問題、実際に、初心者の方が取引をする場合、個人口座での取引になりますから、レバレッジが25倍に固定されているFX会社が大多数です。
つまり、レバレッジの倍率が選べないということです。
「レバレッジの倍率が選べないなら、そうしたらいいんだ?
と、思われるでしょう。
ここで重要なのが、「実行レバレッジ」という考え方です。
最後にこの「実行レバレッジ」についてお話しします。
実効レバレッジとは?
先の例では、むやみに大きなレバレッジを効かせると、損失も大きくなることを示しました。
ですが、レバレッジが25倍に固定されている場合どうするのか?
それは、「実効レバレッジ」を抑える、ということです。
「実効レバレッジ」とは、純資産額対して、現在のポジションが何倍に達しているかを示した数値です。
一般的には、実効レバレッジを3倍程度にしておくと、簡単には「証拠金不足」にならないと言われています。
具体的に見てみましょう。
「米ドル/円」で取引するとします。
現在のレートが1ドル=148円。
あなたの口座にある純資産額は10万円。
1000ドル通貨で、ポジションを建てます。
1000ドル=14万8000円
※必要証拠金は、14万8000円÷25=約6000円です。
この場合の実行レバレッジは、
14万8000円(ポジションの額)÷10万円(純資産額)=1.48倍
となります。
3倍程度までは安全圏なので、
10万円の資産があった場合、30万円程度でポジションを建てることができます。
2000ドル=29万6000円でポジションを建てた場合、
※必要証拠金は、29万6000円÷5=約1万2000円です。
実効レバレッジは、
29万6000円(ポジションの額)÷10万(純資産額)=2.98倍
となります。
また、実効レバレッジが、1倍以下なら、理論的に「ロスカット」は発動することはない、と言われています。
初心者が、FXですぐに利益を出すことは難しいことです。
実効レバレッジを3倍程度の取引なら、大きな値動きがあっても、すぐに資産が圧迫されるほどの「損失」は生まれません。
取引に慣れて、利益が出せるようになったら、実効レバレッジを引き上げることが無難と言えます。
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