テクニカル指標の中でも「トレンド系」に分類される「移動平均線」。初心者の方にも比較的分かりやすい指標です。今回は「移動平均線」の見方や使い方について分かりやすく解説します。
「移動平均線」は、一定期間の「終値」の平均を結んだ線グラフです。
相場のトレンドを一目で読み取ることができるので、初心者の方は、まず「移動平均線」の使い方を学ぶことをお勧めします。
「移動平均線」の意味と使い方とは?
移動平均線を使うことで、現在(過去)の相場が、上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのか、といった「トレンド」を確認することができます。
また、複数の異なる移動平均線の組み合わせや、ローソク足との組み合わせによって、「売買のシグナル」を捉えることもできます。
移動平均線の計算方法
移動平均線は、ある一定の期間の「終値」の平均価格を表しています。
例えば、期間を5日間に設定した場合、次のように算出することになります。
さらに、チャートで詳しく見てみましょう。
上の図のローソク足は「1日足」です。ですので、1本のローソク足が1日の「始値」と「終値」を表しています。
水色の丸が5日間の平均値93.35680円です。
これは、白色点線枠のローソク足(5本分)の終値を合計して5で割った値になります。
具体的に数値を当てはめると、
直近の終値93.882+1日前の終値92.624+2日前の終値93.046+3日前の終値93.606+4日前の終値93.626÷5=93.35680
となりますね。
移動平均線の種類は?
上の例の移動平均線は、「単純移動平均(SMA)」と言われるものです。
移動平均線には、他にも2種類あります。
指数平滑移動平均線(EMA)
これは、「直近の終値」に比重をかけて計算する移動平均線です。
最新の価格をより強く反映させるため、単純移動平均線よりも、直近の値動きに敏感に反応し、トレンドの転換を察知しやすいとされています。
直近の価格をより強く反映させるため、「直近の終値」を2回足しています。
上の図は、SMA(単純移動平均)とEMA(指数平滑移動平均線)の両方を比較したものです。
近々の値を反映している方が、値動きをより正確に表しています。
- 相場が下降している場合 EMAの線はSMAの線より低い所を推移している。
- 相場が上昇している場合 EMAの線はSMAの線より高い所を推移している。
加重移動平均線(WMA)
「加重移動平均線」とは、一定期間の価格に対して、新しいデータほど大きくなるように比重をかけて計算する移動平均線です。
このように、近い値に大きな数をかけることで、その比重を大きくしています。
価格のデータ量は「15個」になるので、15で割ります。
移動平均線の見方とは?
移動平均線は、上向きなら「上昇トレンド」、下向きなら「下降トレンド」と読み取れます。
また、「ローソク足」との位置関係から、「トレンド相場」か「レンジ相場」かを見分けることもできます。
移動平均線の設定期間は?
トレードの画面では、移動平均線の期間を自由に設定することができます。
ですが、相場は、トレーダーの心理や行動を反映するものです。
ですから、より多くのトレーダーが設定している期間を設定すべきです。
一般的に使われている期間設定は以下の通りです。期間は「ローソク足」が何足なのかによって違ってきます。
足の種類 | 短期線 | 中期線 | 長期線 |
---|---|---|---|
日足 | 5日 | 25日 | 75日または100日・200日 |
週足 | 9週 | 13週 | 26または52週 |
月足 | 12か月 | 24か月 | 60または120カ月 |
ローソク足が1日足で、短期(5日)・中期(25日)・長期(75日)で実際に線を引くと以下のようになります。
実際に分析する際は、上記のように短期・中期・長期の3本を組み合わせるか、短期・長期の2本を組み合わせるか、になります。
トレードにおける平均線の利用法とは?
短期線と長期線の2本の動きにより、「売買」のシグナルを見て取ることができます。
売買のシグナルは以下の2つです。
では詳しく見てみましょう。
上の図は、短期線(5日)と長期線(75日)の組み合わせです。
黄色の点線部分では、短期線が長期線を「下」から「上」に突き抜けています。
これな価格上昇の兆しで、「ゴールデンクロス」と言います。「買い」のサインとされています。
白色の点線部分では、逆に、短期線が長期線を「上」から「下」に突き抜けています。
これは、価格下落の兆しで、「デッドクロス」と言われます。「売り」のサインとされています。
とはいえ、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」が、必ずしも「売買のサイン」になり得るか、と言えばそうでない場合もあります。
上の図の白色点線部分は、デッドクロスが発生したものの、その後の価格の下落はほとんど見られず、
逆に、価格が上昇している状態です。
このように、デッドクロス・ゴールデンクロスが発生したからと言って、そのサイン通りに、値が動くとは限らないのです。
では次から、移動平均線をさらに活用するための方法として、「グランビルの法則」をご紹介します。
グランビルの法則とは?
「グランビルの法則」は、アメリカのチャート分析家が考案した「売買のシグナル」を示したものです。
価格と移動平均線に注目して「売買のシグナル」が8パターンに分類されています。
パターンごとに、シグナルの「信頼度」や「強弱」があり、ゴールデンクロス・デッドクロスだけの分析に比べてて、より精密な分析をすることができます。
ですが、「グランビルの法則」も、ゴールデンクロス・デッドクロス同様、「絶対的」な分析ではありません。
「買い」のシグナルは次の通りです。
「売り」のシグナルは以下の通りです。
これらすべてのパターンが、チャート上に現れるとは限りません。
また、100%この法則通りになるわけではないので、法則を妄信することなく、チャート分析をすることをお薦めします。
以上、「移動平均線」の意味や種類、使い方について解説しました。
この記事は「移動平均線を使えば、トレードで勝てますよ」という記事ではありません。
あくまでも「移動平均線」を理解してもらうために書いたものです。
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