相場を分析するためのテクニカル指標の中でも、「トレンド系」に属する「ボリンジャーバンド」。今回は「ボリンジャーバンド」の意味や見方、トレードにおける活用方法について分かりやすく解説します。
「ボリンジャーバンド」とは、アメリカの投資家ジョン・ボリンジャー氏が開発したことから、その名前が付けられています。
日本語では「バンド幅」と呼ばれることもあります。
ボラティリティ(価格変動率)を示す「標準偏差」が利用されています。
相場の方向性だけでなく、ボラティリティ(価格変動率)の変化に応じて、バンドが広がったり、縮まったりすることで、次の値動きを予想できる、優れたテクニカル分析ツールと言われています。
ボリンジャーバンドの見方や使い方とは?
ここからは、「ボリンジャーバンド」の意味と見方、また、トレードの際に活用するために、知っておくべきボリンジャーバンドの4つの形状についてお話します。
4つの形状とは以下のものです。
では、詳しく見てみましょう。
ボリンジャーバンドの意味とは?
上の図のように、「移動平均線」を中心として、上下にライン(バンドと言います)が引かれています。(オレンジの線)このオレンジの線が「ボリンジャーバンド」になります。
ボリンジャーバンドの上下のバンドは、「偏差値差」を表しています。
「偏差値差」とは、データのばらつきの度合いを表す統計学的な値のことです。
上下のバンドには「±1σ(シグマ)標準偏差」「±2σ(シグマ)標準偏差」「±3σ(シグマ)標準偏差」などがあり、「バンドの幅」を表しています。
上の図では、標準偏差は±2σ(シグマ)になっています。
この標準偏差が意味するのは、以下の確率で、過去(または現在)のレートが、それぞれのバンドの範囲内に収まる、ということです。
幅が広ければ広いほど、価格が範囲内に収まりますね。
±2σであれば、95.44%の確率で、価格がその範囲内に収まり、逆に±2σからはずれる確率は4.56%にすぎない、ということです。
先の図でも、幅が±2σでしたが、これが最も一般的に使われる幅です。
では次に、トレードでの活用方法についてお話します。
ボリンジャーバンドで注目すべき4つの形状とは?
ここからは、先にお話した、ボリンジャーバンドで特徴的な4つの形状の意味と、トレードでの活用法についてお話します。
スクイーズとは?
白色点線内のように、バンド幅が狭くなっている状態を「スクイーズ」と言います。
この状態は、ボラティリティが小さい「レンジ相場」を表しています。
トレードしても、大きな利益が得られる状態ではありません。
また、特に初心者の方は、この状態の時にトレードするのは、得策とは言えません。
エクスパンションとは?
「エクスパンション」とは、上図の白点線部分で、バンド幅が広がっている状態です。
ボラティリティ(価格変動率)が高まっていることを示しています。
トレンド発生時に見られるので、大きな利益を得るチャンスがある相場の状況である、と言えます。
黄色い点線丸に注目してください。
「スクイーズ」から「エクスパンション」に移行した際のローソク足に注目です。
上図の場合、バンド幅が拡大し始めた時に、陰線のローソク足の終値が、-2σのラインを下に抜けています。
これは、「売り」のサインになります。
図にはありませんが、ローソク足の終値が、+2σのラインを上に抜けたら、「買い」のサインです。
このように、スクイーズ(レンジ相場)から、±2σのラインを抜けることを「ボラティリティ・ブレイク」と言います。
ボラティリティ・ブレイクは、レンジ相場が終わり、トレンドが発生することを示します。
トレンドの初期を捉え、注文を出すことで、利益を狙います。
バンドウォークとは?
「バンドウォーク」とは、ローソク足がバンドに沿って並んでいる状態です。
トレンドが継続していることを示しています。
ポージとは?
「ポージ」とは、バンド幅が最も広い部分のことを言います。
価格の変動が最も大きいタイミングであり、トレンドが終了したことを示しています。
トレードする際の注意点
ボリンジャーバンドも、他のテクニカル指標と同様、100%信頼できるものではありません。
ここからは、ボリンジャーバンドを活用する際の注意点についてお話します。
「ヘッドフェイク」とは?
先にも言いましたように、「スクイーズ」から「エクスパンション」に移行する際、価格が±2σのラインを越えると、「売買のサイン」と言いました。
ですが、想定したトレンドが発生せず、逆方向のトレンドになる場合があります。
このような「ダマシ」を「ヘッドフェイク」と言います。
ヘッドフェイクの対処法①
このような「ダマシ」に引っかからないためには、ボラティリティ・ブレイクは発生しても、すぐに注文しないことです。
FXの相場では、トレンドの発生中に、価格が一時的にトレンドとは逆方向に動きことが良くあります。これを、「押し目」「戻り目」と言います。
ボラティリティ・ブレイクが発生したとき、すぐに注文を入れずに、この「押し目」「戻り目」を確認してから、注文する方が安全と言えます。
トレンドは、ある程度の期間続きますので、慌てずに、注文を出さなくとも、利益は狙えます。
ヘッドフェイク対処法②
より長期の足で見ることも大切です。
というのは、チャートをローソク足の短期足で見た場合、長期のトレンドと同じ方向にブレイクしやすい、と言われているからです。
なので、長期のトレンドと同じ方向にブレイクした時だけ、注文をすれば、ヘッドフェイクを回避しやすくなります。
以上、「ボリンジャーバンド」の意味や使い方について解説しました。
この記事は「ボリンジャーバンドを利用すれば、トレードで勝てますよ」という記事ではありません。
あくまでも「ボリンジャーバンド」を理解してもらうために書いたものです。
コメント