ネコの五感は、人間よりも大変優れています。五感とは「見る」「聞く」「味」「におう」「さわる」の5つです。ネコの五感がどれくらいすごいのかを、分かりやすくお話します。

動物って、目や鼻がすごく良さそうなイメージがあるけど、
どれくらい、すごいんだろう?
ネコは目や鼻だけでなく、他にも人間よりすごい所がいっぱいあるのです。

※小学生でも読めるように、漢字にはルビがふってあります。
ネコのはなは人よりすごい?

ネコの鼻には、どんな力があるのでしょう? ネコの鼻は「ニオイ」をかぐだけでなく、他にもいろいろなことができるのです。
人の10万倍?
犬ほどではありませんが、ネコも、はながよくききます。
ネコがにおいをかぐ「力」は人間の10万倍~30万倍あると言われています。ちなみに犬は100万倍くらい。
はながきくのは、においをかぐための「嗅細胞」というものをたくさん持っているからです。
人間は4千万個、ネコは2億個も持っているとも言われています。
あなたが、外から帰ってきて、ネコににおいをかがれると、「何をたべてきたか」「ちがうネコをさわってないか」すぐにバレてしまいますよ。
人間は、見た目でも「おいしそうな料理」と思うことがありますね。
でもネコは、食べ物などを、「目」ではなく、ほぼ「におい」だけで判断しています。
上の写真のようにネコのはなの穴は、横に切れています。
このため、正面からだけでなく、横からくるにおいもかぐことができるのです。
ですから、人にはわからないような「ニオイ」も、ネコには「かぐ」ことができるのです。
ニオイでコミュニケーション?
ネコはよく、お互いに「おしりのにおい」をかぎあいます。
はじめて会うネコ同士が、お互いのことを知るためにかいだりします。
このネコに近づいてもいいか、安心か、という情報がにおいでわかるのです。
毎日一緒にいるネコ同士でも、かいだりします。
いつもと違うにおいがすると、そのネコに近づかないようにしたりすることもあります。
「ニオイ」はネコの身を守ることにも役立っているのです。
ネコはどんな見え方をしてるの?

実は、ネコの視力はあまりよくありません。ですが、視力以外は、人よりも優れているのです。ネコにはこの世界がどのように見えているのでしょう?
視力はあまりよくない?
ネコの視力は、0.2~0.3と言われています。あまりよくありませんね。
これほど目が悪いので、動いてない物は、ネコには見えていない場合もあります。
「視力」が悪いぶん、動くものを見る力=「動体視力」はすぐれていて、人のやく10倍と言われています。
また、ネコは赤い色をみることができません。ですからネコが見るけしきは、黒っぽく見えています。
また最近の研究によって、人には見えない「紫外線」がネコには見えているということがわかってきました。
くらい所は大丈夫?
人間では、目の前にいる人の顔すらわからないくらいの暗さでも、ネコは普通に動き回ることができます。
ネコは、人の6倍も明るい世界が見えていると言われています。
そのわけは次の3つです。
※ここからは言葉がちょっとむずかしいです。
①桿体細胞が発達しているから
人の目の中にもネコの目の中にも、「網膜」というところがあります。
その中に光が明るいか暗いかがわかる細胞である「桿体細胞」というものがあります。
その細胞が、人より発達しているのです。
②瞳が大きいから
ネコの瞳(目の丸い黒いところ)の大きさは、人の3倍です。
瞳が大きいぶん、光を多く取り入れることができます。
③「タペータム」があるから
タペータム=反射板 がネコの目にはあります。これは人にはありません。
網膜のうらにあって、網膜の「桿体細胞」では取りこぼしてしまった光を、この「タペータム」が拾って、感知するのです。
ネコは、人より光を感知するところが、多いということですね。

上の写真の左のネコは、「瞳(黒い部分)」が大きくなっていますね。
これは、このネコが光を多く取り入れようとしているからです。
右のネコの「瞳(黒い部分)」は細くなっていますね。
このネコは明るい所にいるので、光をたくさん取り入れる必要がないからです。
ネコに「あじ」はわかるの?

ネコと暮らしている人は、分かると思いますが、ネコが食べるご飯の種類と、食べない種類があったりしますよね。
ネコは、そんなに「グルメ」なのでしょうか?
人より「あじ」にうるさくない?
「あじ」は舌にある細胞の「味蕾」というもので感じます。
ネコの「味蕾」の数は、人の10分の1くらいしかありません。人より「あじ」は感じないと言えます。
では、ネコに好ききらいがあるのは、どうしてなのでしょう?
キャットフードの好ききらいは、「あじ」というよりも、ほぼ「におい」の好ききらいによるものと言えます。
ちなみにネコは、コオロギやバッタなどの虫も好きです。
虫などには、大切な栄養である「タンパク質」が多く含まれているからです。
「酸味」と「苦味」はよくわかる?
あじには、基本的に、「塩味」「苦味」「甘味」「酸味」があります。
ネコは、このうちの「苦味」「酸味」には敏感です。
これは肉などのエサが「くさってないか」を知るために大切だからです。
そういう意味から、「甘味」「塩味」にはあまり反応しません。
ネコのヒゲはなんのため?

ネコのヒゲは、「かざり」でついているわけではありません。「目」や「鼻」以上に、大切な役わりをもっています。
「ひげ」は、ほっぺだけではありません!
人は、手で触ったりして、「冷たい」「熱い」「固い」「やわらかい」などを感じることができますね。
それを、ネコは「ひげ」で感じ取っています。
ヒゲが、よく目立って生えているのは、ほっぺのあたりです。
ですが、ネコのヒゲが生えているところは、実は、頬っぺただけではありません。
ネコと暮らしているなら、よく見てみてください。ほかにも、あごの下、目の上、前足首の裏などにも生えているのですよ。
「ひげ」=すごいセンサー?
ネコのヒゲは、0.1ミリ動いただけでも、何かを感じとることができます。
それは、ヒゲの根元にたくさんの「神経細胞」が集まっているからです。
何か気になるものがあると、ひげで触って、危なくないかを確かめたりします。
また、せまい所など、自分が通れるかどうかを、ひげによってすぐに判断することができます。
ネコは目があまり良くない分、ひげでカバーしていると言えます。
ちなみに、子ネコは、お母さんのおっぱいを、目ではなく、ヒゲを使ってさがします。
ひげは気持きもちも表あらわします
興味があるものを見ていたり、「えもの」をねらっているときは、ヒゲは前に向きます。
リラックスしているときは、下にたれて、こわいと思っているときは、後ろのほうに向きます。
このように、ヒゲはネコの気持ちも表すのです。
ネコは「みみ」もいいの?

ネコは大きな耳を持っていますね。大きいだけあって、耳の能力も高いのです。
ネコの耳みみ=パラボラアンテナ?
人は耳の向きを変えることはできませんね。
ですが、ネコの耳は270度くらい回転できます。
それは耳の根元にたくさんの筋肉があり、それは人の5倍もあると言われています。
たくさんの筋肉で、耳を前や後ろに動かすことで、いろいろな方向からの音を聞くことができるのです。
そして、大きな耳で、小さな音も拾えるようになっています。
驚くことに、ネコには、アリの足音さえ聞こえると言われています。
家に帰った時に、ネコが玄関で、お出迎えしていた、という話はよく聞きます。
これは、人には聞こえないような小さな足音などが、ネコには聞こえていて、待ちかまえているのです。
高たかい音おとがよく聞きこえる?
聞こえる高い音の最大の周波数を比べると、人は2万3000ヘルツですが、ネコは6万4000ヘルツです。
ネコは人の、約3倍もの高い音が聞こえるというわけです。
この「力」は、えものを取るときに、役立ちます。
ネズミの「チューチュー」というなき声は人にも聞こえますが、それはネズミの「鳴き声」のほんの少しでしかありません。
人に聞こえるのは、ネズミの「低い鳴き声」だけです。
ネズミはすごく高い声でないたりします。
その声は「高すぎて」、人の耳では聞くことはできないのです。
ネコには、この「高いなき声」もしっかり聞こえます。
ほかの小動物や虫がなく声も、すごく高いことが多いのです。
それらの「えもの」をとるために、ネコには「高い音」が聞こえる必要があるのです。
ネコは女おんなの人ひとが好すき?
女の人は声が高い人が多いですね。反対に、男の人は、女の人に比べて、低い声の人が多い。
ネコには「高い音」が聞きやすいので、どちらかというと「高い声」を出す女の人になつきやすいと言われています。
※ネコの性格について知りたい方はこちら
おわりに
以上、お話してきたとおり、ネコの「五感」は人より「すごい」ということが、お分かりになったと思います。
ネコだけではなく、たいていの動物の五感は、人間より優れています。
えものを取ったり、危険から身を守るために、そういうすぐれた能力が必要だからです。
人間は動物に比べて、「五感」が優れているとは言えませんね。
人間は、「五感」が優れていない代わりに、「どうぐ」を自由に使える「力」を身につけました。
だから動物のように、すぐれた五感を必要としなかったのです。
おしまい
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