~ネコの「しつけ」などでお困りの方へ~ネコとくらしはじめたばかりの時は、「ネコがトイレではないところでオシッコやウンチをしてしまう」「人や一緒にいるネコをかんでしまう」ということがよくあります。今回は、これらの「トラブル」についてお話します。小学生でも読めるように、むずかしい漢字にはルビがふってあります。
人の手や足をかんだりするのは、どうしてなのかしら?なんとかやめさせたいわ


うちのネコ、フトンや床にオシッコやウンチするのよねえ💦どうしてトイレでしてくれないのかしら?
こんな「トラブル」をお持ちの方は、多いのではないでしょうか?
解決するための方法を、分かりやすくお話していきます。

ネコがかむのをやめさせたい

はじめに、「ネコが人や他のネコをかむ」ことをやめさせる方法についてお話していきます。
ネコに気づかせる
水鉄砲・空気鉄砲・または大きな音で手をたたくなどして、
ネコに「だめな行動である」ことを気づかせることです。
言葉は悪いですが、ちょっとした「罰」を与えることは効果的です。
これは、噛もうとしたきざしが見られてから、30~60秒以内に行います。
1番効果的なのは、きざしが始まってから、1秒以内と言われています。噛もうとしていることがわかってから「すぐに」ダメなことを気づかせることが大切です。
ちなみに、「ネコをたたくこと」はあまり効果がありません。ネコがさらに「攻撃的」になってしまうだけです。
大事なのは、ネコに「ハッ!と」させて気づかせてやること。
これを何度も繰り返すことで、ネコは「だめな行動」を学習していきます。
ごほうびをあげる
怒るだけではなく、良いことをしたら、ほめてあげることで、何をすれば良いのかを学習してくれます。
「良い行動」をしているときに、「ごほうび」をあげてください。
ネコが、落ち着いて静かにしているときや甘えてきたときに、
- マッサージをしてあげる
- チュールなどのおやつをあげる
など、ネコにとっての「ごほうび」をあげて、良い行動とはどんなことなのかを、おぼえてもらいましょう。
かんだりする時の「きざし」を知りましょう
かんだり、爪を立てようとする「きざし」は以下のとおりです。
- しっぽをピクピク動かす
- 耳を頭にピッタリつける
- 攻撃対象をジッと見つめる
- 瞳孔が大きくなる
- 頭を低くする
- 爪をむき出す構えをする
- 静止して緊張している
- 低いうなり声を出す
このような「きざし」が見えたら、先ほど言ったように「大きな音」などで、「してはいけないことであること」を気づかせましょう。
「攻撃行動」をする理由を知りましょう
「かむ」「爪をたてる」ことを「攻撃行動」と言います。「攻撃行動」のパターンはいろいろ研究されていますが、ここでは以下の3つのパターンだけお話します。
※ここからは、小学生にはちょっとむずかしい言葉になるかもしれません。
① 社会性のないことから起こる「攻撃行動」
② 自己主張型の「攻撃行動」
③ ネコ同士の「攻撃行動」
この3つだけご紹介するのは、他のパターンは「本能的」理由によるところが多く、
この3つは「飼い猫」ならではの理由と考えられるからです。
①社会化の欠如から起こる「攻撃行動」
ネコは、生後3週間~7週間に親猫や兄弟ネコから「社会性」を学びます。
この間のうちに、親猫や兄弟ネコから離されて、人に飼われたネコは「社会性」が身につかないことがあります。
子ネコの時は、「遊びでかむ」ことがあるのですが、親や兄弟とくらしていると、どこまで「かんでいいのか」などを学習していきます。
ですが小さい時に親や兄弟と離れてしまうと、「学習する」ことなく成長してしまうのです。
また、生後14週までに、人に「抱っこ」されたことのないネコは、その後も人を怖がるネコになってしまうことがあります。
そうなると、人を怖がり、人へ攻撃することもあります。
②自己主張型の「攻撃行動」
「ほっといてくれ」と主張している場合の「攻撃行動」です。
ネコをなでていたり、かまっているときに手を噛んできたりします。
このような時には、
- ネコから離れて、「攻撃行動」をさせない
- 落ち着いた行動になるまで、ほっておいてかまわない
ことが必要です。このようなネコの場合、
「抱っこする」ことは、とりあえずあきらめた方がいいでしょう。
時間をかけて、人になっるようにしてあげることが必要です。
③ネコ同士の「攻撃行動」
この「ネコ同士の攻撃行動」は、もちろん2匹以上ネコを飼っている場合に起こります。
ネコにも、「上下関係」はあります。お互いを対等な立場のライバルだと考え、どちらにも、「服従する」意志がない場合に起こります。
ですので、比較的年齢が近いネコ同士に起こりやすいことです。
また、この「上下関係」がはっきりしない場合、その「攻撃行動」が人へ起こることもあります。
この場合は、
- 飼い主がいないときには、部屋を別々にする
- 鈴などをつけて、ネコたちの行動を把握して、「攻撃行動」が起こったなら、やはり「大きな音」などで、注意喚起する。
- ネコ同士が、静かに一緒にいるなら、「ご褒美」をあげる
- お互い近づこうとしないなら、共通の好きなおやつなどをあげて一緒に食べさせ、距離を縮めていく
ここまでのまとめ
子ネコが「かむ」場合は、
- 「狩りの練習」をしているから
- 社会性を学んでいないから
この2つが考えられます。
「狩りの練習」は、本能ですから、やめさせることは非常に難しい。やめさせるのも、「相手にしないでほっておく」くらいしかありません。
「社会性がない場合」については、時間をかけて「しつける」ことは可能です。
ネコは、犬ほどに「しつけ」が必要ない、と考えている方も多いかと思いますが、ネコもそれなりに「しつけ」が必要ということです。そして時間もかかります。

写真は、うちのにゃんず。
なかよく食べてますが、ちょいちょいケンカします。ですが「上下関係」はできているので、ケガをするまでにはいきません。
2匹以上のネコを飼っている場合、ネコを性格も様々です。「みんな仲良く」とはなかなかいきません。人でも兄弟げんかはよくあること。ネコでもあるということです。
ネコ同士が「合わない」場合は、それぞれ距離をおくように、それぞれの「居場所」を作ってあげることも必要です。
ネコがトイレ以外でオシッコをしてしまう

ネコが、自分のトイレ以外で「用を足す」こともよくあることです。ここからは、ネコがきちんとトイレを使ってくれない理由やその解決法についてお話します。
ネコがトイレを使わない原因は?
ネコがそのトイレを使わない主な原因は、以下の3つが考えられます。
①トイレの場所を嫌っている
②トイレの中の素材(砂やチップなど)を嫌っている
③トイレの容器自体を嫌っている
この3つを変えてあげる必要があります。
ただ、ネコが何を嫌っているか言葉では教えてくれませんから、飼い主さんには何を変えればよいか、分からない場合も多いでしょう。
変えるパターンとして、考えられるのは、以下の7通りということになります。
変える場合を「〇」、変えない場合を「✖」としています。
場所 | 素材 | 容器 |
〇 | 〇 | 〇 |
〇 | ✖ | ✖ |
〇 | ✖ | 〇 |
〇 | 〇 | ✖ |
✖ | 〇 | 〇 |
✖ | ✖ | 〇 |
✖ | 〇 | ✖ |
7通りすべて試すのは大変です。
ネコがどれを嫌っているか、予測をつけて、試してみたほうがいいでしょう。
次に、「場所」「素材」「容器」を嫌ってしまう理由についてお話します。
場所を嫌う理由
- 音が出るもの(テレビや洗濯機など)が近くにあって、びっくりしたことがある。
- 鏡が近くにある~自分の姿を「敵」だと思い、見られているその場所がきらいになる。
- トイレ中に、他のネコなどに虐められた経験がある。
このような理由で、「トイレのある場所」を嫌ってしまうことがあります。場所を変えてあげる必要があります。
また、トイレではないところで、オシッコやウンチをしてしまうということは、「その場所」がお気に入りである場合がありますので、
その場所にトイレを置いてみるのもいいでしょう。
素材や容器を嫌う理由
素材を嫌う理由は、おもにそのネコの好みによりますが、
素材がすごく汚れていたり、ニオイを発していると、ネコが嫌う理由になります。
また、素材そのものはいいとしても、その量が少ないと嫌がります。ネコがオシッコのニオイを隠すに充分な量が必要です。
トイレの容器も、できるだけ清潔にしてあげるとよいでしょう。

上の写真のように、トイレにも2種類あって、屋根付きと屋根のない物があります。屋根付きは「ニオイ」がこもりやすいので、ネコが嫌がることがあります。
屋根付きのトイレを使ってくれないのなら、屋根のないトイレに変えるのも良いでしょう。
理想的なトイレの設置方法と掃除の仕方
トイレの掃除には、なかなか手間がかかるものです。以下は、「理想的なトイレの掃除と設置」の仕方です。できるだけこのようにした方が良い、ということですので、参考にしてみてくください。
- トイレの数は、飼っている数+1個の設置が理想的です。トイレはネコにとって「なわばり」になるので、1匹につき1個以上がいいのです。
- 場所は、(家の広さにもよるでしょうが)1か所に固めずに、1つ1つ離して設置しましょう。
- ご飯を食べる場所と、トイレは離しましょう
- 素材(砂やチップ)はこまめに掃除しましょう。固まる砂の場合は2週間に1度は交換します。
- トイレの本体は1週間に1回は洗いましょう。ネコは人よりかなり「鼻がきく」ので、ちょっとしたニオイでも嫌がったりします。
- 掃除をするとき、洗剤など、ニオイのつくものは使わないようにしましょう。
スプレー行動(マーキング行動)かもしれません
トイレを使ってくれない原因として、次のようなことも考えられます。
- 同居しているネコで、相性の悪いネコがいる
- 引っ越しなどで、生活環境が変わった
- ノラ猫を窓からよく見かける
- イヤなニオイがする場所があり、それを消すためにそこにオシッコをかけている
などです。いずれにしても、自分の「なわばり」に不安などがある場合に起こります。
自分のニオイで、安心しようとして、「スプレー行動」(マーキング行動)を取っていると考えられます。
原因を突き止めて、その不安を取り除いてあげる必要があります。
トイレ以外でさせないために
トイレ以外のところで、オシッコやウンチをしたその時に、「音」などで「ビックリ」させることです。
オシッコやウンチををしようと、しゃがみこんだ時に、「ビックリ」させます。
「今していることは悪いことだよ」と、ネコに「注意」して、「気づかせる」のです。
悪い行動をしようとした時には「罰」を与えることが最も効果的と言われています。「罰」といっても、「たたいたり」してはいけません。
「体罰」はネコを怖がらせて、飼い主さんを「敵」だと思い、攻撃的にしてしまうことがあります。「体罰」はするべきではありません。
また、オシッコやウンチをしてしまってから、叱ったりしても、効果はあまりありません。むずかしいかもしれませんが、「オシッコやウンチをしそうになったら」注意してあげることが効果的です。
ネコにトイレのしつけはいらない?
ネコは、そもそも、犬のようにトイレのしつけが必要ありません。
トイレの場所さえ分かれば、ずっとそこでオシッコなどをします。
もともとネコは、自分のなわばりの中で、ひとりで行動をし、狩りをして生活していました。
他のライバルネコに、気づかれないように、自分のなわばりの中心部では、自分のニオイを隠す必要がありました。
同じ場所でオシッコなどをして、砂などで隠すことで、自分のニオイを消すのです。
犬のような集団生活をし、移動する動物は、その必要がないので、いろいろな所でオシッコなどをします。だから、犬のトイレのしつけは大変なのです。
まとめ
以上、「ネコによくありがちな2つのトラブル」についてお話してきました。ネコは、人のように言葉を使うことができません。
ですから、ネコの気持ちは、飼い主さんが分かってあげなければなりません。
ネコの「困った行動」のほとんどは、病気でない限り、「本能や習性」によるものです。
決して人に「嫌がらせ」をしているわけではありません。
ネコにはネコの事情がある、ということろでしょうか。
ですから、飼い主さんは「ネコの本能や習性」を理解して、トラブルに対処しなければいけないのです。
おしまい
※ネコのことについて、くわしく知りたい方はこちら
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