「相対性理論」は難しくない?Part4。「光速」は、この世のすべてにおいて、最も速いものです。もっと技術が進めば「光速」を越えられるのでしょうか?「いや、それは不可能だ」とアインシュタインは言います。それはなぜなのか?今回は「質量の不思議」について分かりやすく解説します。
技術が進歩したら、スターウォーズの「ハイパードライブ」みたいに超光速で飛べるのかな?
「相対性理論」では光速を超えることを否定しています。それはどうしてなのでしょうか?
今回はそんなお話です。「ハイパードライブ」については後で少しだけお話します。
アインシュタインは、こう言います。
何ものも「光速」は越えられない。それは、動くものの質量が大きくなるからだ
これはどういうことなのでしょうか?
動くものの質量は大きくなる?
なぜ、動くものの質量は大きくなってしまうのか?
また、なぜ質量が大きくなると、光速を越えられないのか
ということについて詳しく見ていきましょう。
速くなるほど質量は大きくなる?
じゃあ、止まっている車より、走っている車の方が「重い」の?
その通りです。ですが、その質量の増え方があまりに小さいので、日常的には分からないだけなんです。
100tのロケットがあるとしましょう。このロケットをどんどん加速させていくと、その質量もどんどん大きくなります。
上の図のように、秒速10㎞くらいでは、0.056g増えるだけですが、秒速29.7万㎞(光速の99%)まで加速すると、質量は600tも増えることになります。
600t増えても、もっと大きなエネルギーがあれば、さらに速くできるんじゃないの?
そう思いますのね。でも話はそんなに簡単ではないのです。
秒速29.7万㎞(光速の99%)では、質量は600t増えるだけですが、
ロケットのスピードをさらに上げていくとどうなるのか?
例えば、光速の99.9999999・・・・%というように光速に近づけようとすると、ロケットの質量もどんどん大きくなり、ついには「無限大」に大きくなってしまうのです。
「無限大」の質量のものを動かすには、「無限大」のエネルギーが必要になります。
このように、光速に近づけようとして、エネルギーを加えれば加えるほど、ロケットの質量は「無限大」になってしまい、動かしにくくなってしまいます。これが光速を越えることができない理由です。
ではなぜ、どんどん加速させると、質量が大きくなってしまうのでしょうか?
それは、質量もエネルギーも同じもの、だからです。
質量とエネルギーは同じもの?
アインシュタインは言います。
質量というのは、エネルギーの1つの種類である
これは一体どういうことなのでしょうか?
物体を動すためには、「エネルギー」が必要ですね。エネルギーを加えなければ、ものは微動だにしません。
そして、物体が速くなるということは、物体のエネルギーが増すということです。
速く動く物体ほど大きな「運動エネルギー」を持つからです。
加えられたエネルギーが、運動エネルギーに変わるため、物体は動くことができます。
上の図のように、どんどんエネルギーを加えれば、ロケットの運動エネルギーは大きくなり、速く動くことができる、というわけですね。
ですが、先ほどお話したように、物体がどんどん速くなると、その質量が大きくなるため、加速しにくくなります。
加速しないということは、「運動エネルギー」が増えない、ということです。
ですが、これはおかしなことなのです。
どんどんエネルギーを加えているのだから、運動エネルギーもどんどん増えなければいけません。
加えられたエネルギーが消えてしまっているの?
いえ、エネルギーは「勝手に」消えたり、減ったりはしません。実は、加えたエネルギーが、運動エネルギーではないものに変わっているのです。
加えられたエネルギーは「質量」に変わっているのです。
エネルギーを加えて、光速の近くまで加速させると、加えたエネルギーは「運動エネルギー」ではなく、「質量」に変わってしまう。
だから、いくらエネルギーを加えても、光速以上に加速することはできないのだ、ということなのです。
どうしてこうなるのか?というと、
エネルギーと質量は同じである。だからエネルギーは質量に変わるし、質量もエネルギーに変わることができる。
と、アインシュタインは言います。
スターウォーズの「ハイパードライブ」の仕組みは?
加えられたエネルギーが、「質量」に変わってしまうという「問題」があるために、何ものも光速を超えることはできません。
スターウォーズの中で登場する「ハイパードライブ」は「超光速」で、宇宙空間を飛び回る航行法です。
「相対性理論」からすると、これは不可能ということなのですが、それを「可能」にする、ちゃんとした「理屈」があるのです。
スターシップを超光速までに加速させるには、莫大なエネルギーが必要であるとともに、
加えるエネルギーが質量に変わることを、防がなくてはなりません。
まず加速させるエネルギーは「パワーコア」という特別なエネルギーから得ています。
そして、エネルギーが質量に変わってしまわないようにしているのが、「ハイパーマター(超物質)」という粒子(=とても小さい粒)の存在です。
このハイパーマターによって、エネルギーが質量に変わってしまうことなく、スターシップは、その質量とエネルギーを維持したまま、加速を続けることができます。
そしてついには、超光速にまで加速することが可能になる。
って感じです。
え?それだけ?
いくら調べても、このくらいのことしか分かりませんでした。「スターウォーズ」も相対性理論を意識はしている、ということは分かってもらえたと思います💦
質量の持つエネルギーとは?
エネルギーと質量は同じものだ。ということでエネルギーは質量に変わります。
逆に、質量もエネルギーに変わります。
このことを表したのが、世界一美しい式と言われる
E=mc2 という式です。
Eはエネルギー(ジュール)を、mは質量(㎏)を、cは光速(秒速30万㎞)のことです。
それでは、1円玉にどれほどのエネルギーがあるのか?
簡単な式なので、実際に計算してみましょう。
1円玉の質量は1g、これを「㎏」に直すと0.001㎏。
光速の秒速30万㎞を「m」に直します。すると3億m。
これを2回かけるので、
300,000,000×300,000,000=90,000,000,000,000,000
これに0.001にこれをかけると
0.001×90,000,000,000,000,000=90,000,000,000,000
で、90兆ジュールとなります。
90兆ジュールってどれくらいのエネルギーなの?
90兆ジュールは、2.1億ℓ水を0℃から100℃にまで沸騰させられるほどのエネルギー量です。2.1億ℓは50mプールの約140個分の量です。
また、広島に落とされた原子爆弾から放出されたエネルギー量は60兆~70兆ジュールといわれています。それよりもさらに多いエネルギー量ということです。
たった1gでも、その質量がエネルギーに変わると、これほどまでに膨大なエネルギーになる、ということなんです。
ここでは、詳しくお話しませんが、この「相対性理論」の式E=mc2 をもとに作られたのが、「原子力発電」であり「原子爆弾」なのです。
おわりにかえて
アインシュタイン式、E=mc2 はこれまでの常識をひっくり返す大発見でした。
ですが、この理論をもとに、「原子爆弾」が開発されることになりました。
アインシュタインは、ナチス・ドイツが原子爆弾の開発をしているのではないか、という危機感から、
当時のアメリカ大統領に対して、原子爆弾の開発を薦める手紙を出しています。
後に、広島に原爆が使われることとなり、アインシュタインは、開発を薦めたことを後悔したと言います。
現在でも「核兵器」は世界の脅威となっています。
いかに素晴らしい発見でも、使い方次第では、間違った方向へいってしまうことがあるのです。
最新の技術は、まず「兵器」に利用されることが多いと言われます。
科学者が発見・発明した理論をどう使うかは、人間に託されているのです。
おしまい
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