~宇宙のことを知りたい方へ~宇宙には始まりがあるのでしょうか?また、「始まり」があるのなら「宇宙の終わり」もあるのでしょうか?今回は、宇宙の始まりである「インフレーション」「ビックバン」と「ファーストスター」、さらに宇宙の終わり方の「3つの説」について、小学生にもわかるよう、やさしくお話します。

宇宙は、何もない「無」から生まれたと言われています。
「無」から生まれるって、なんだか想像できないなあ?

実は、宇宙が生まれる瞬間のことは、まだよくわかっていないのです。私たちがわかっているのは、宇宙が生まれてから、ちょっと時間がたってからなんです。

では、宇宙が生まれてから、何が起こったのか?
くわしくお話していきます。
宇宙はどのようにして始まった?

宇宙は、今から138億年前に生まれました。物資もエネルギーも時間も空間もない「無」から生まれたと言われています。
ですが、「宇宙が生まれた瞬間」についてはよくわかっていません。
はじめにインフレーションが起きた?
私たちが分かっているのは、宇宙が生まれてから、およそ10-36秒から後のことです。
これでもとてつもなく短い時間ですけどね。
※ちなみに10-36秒とは、以下のような数字になります。すごくすごく短い時間なのは分かると思います。

10-36秒後~10-34秒後の短い時間に、顕微鏡でも見えないくらい「小さな宇宙」が、凄まじい勢いで「ふくらみ」始めました。
※「ふくらむ」ことを「膨張」と言います。この後からは「膨張」という言葉を使います。
10-36秒後~10-34秒後というとてつもなく短い時間の間に、宇宙の大きさは、1026倍(1京の100億倍)にもなりました。
この凄まじい膨張のことを「インフレーション」と言います。

次にビックバンが起こった?
この凄まじい膨張に使われた、とてつもなく大きな「エネルギー」が、とてつもなく高温の「熱エネルギー」に変わります。
これが上の図のような、「火の玉の宇宙」です。そしてこの「火の玉」が、大爆発を起こします。
これが「ビックバン」です。

「火の玉」の温度は、1京℃の1兆倍という大変な温度です。これが大爆発してさらに宇宙は膨張していきます。
その3分後くらい(やっとふつうの時間が出てきました)の温度は10億℃くらいまで「冷えます」。この時に、物質を作る「元」となる水素原子核やヘリウム原子核ができました。
それから、さらに38万年後、宇宙の温度は3000℃になります。そして、水素原子核やヘリウム原子核と電子がくっつきあい、「原子」が生まれました。
それまでは、「電子」がプラプラしていたために、「光」が電子にぶつかってしまい、光はまっすぐ進むことができませんでした。
電子が原子核とくっついて「落ち着いて」くれたので、光はまっすぐ進むことができ、宇宙は透明になりました。
これを「宇宙の晴れ上がり」と言います。
このようにして生まれた、たくさんの原子が「集まって」最初の「星」ができあがります。
次に、最初の星「ファーストスター」についてお話します。
「ファーストスター」はいつどうやってできたのか?
「ファーストスター」ができたのは、宇宙が生まれてから、2~4億年後のことです。
ここでは、「ダークマター」という、今も「正体がわからない」物質が関わってきます。
※「ダークマター」について知りたい方はこちら

「ダークマター」について、ここでは詳しいお話はしません。物質を引き寄せる「何か」と考えてください。
この「ダークマター」は、宇宙のどこにでもあるわけではありません。たくさんある所と、少ない所があります。
「ダークマター」がたくさんある所は、重力が大きいので、さくさんの物質を引き寄せます。たくさんの物質が集まると、その場所の重力はさらに大きくなります。
そうなると、星を作る「元」になる水素やヘリウムも集まってきます。すると温度や圧力も大きくなります。そしてどんどん「大きなかたまり」を作っていきます。
こうして、最初の星(恒星)である「ファーストスター」が誕生しました。
それから、同じようにしてたくさんの星が生まれ、それがさらに集まり「銀河」を作り、宇宙ができてから138億年後に、私たちが見ている現在の宇宙になったのです。
それでは、宇宙に「始まり」があるのなら、「最後」があるのでしょうか?
最後に「宇宙の最後」についてお話します。
宇宙に最後はあるのか?

宇宙の最後については、わかっていません。なにしろ「未来」のことなので、人間が「見る」ことは出来ないですからね。

「インフレーション」や「ビックバン」も人間が「見た」わけではないのに、なぜ分かるの?
確かにそうですが、「インフレーション」や「ビックバン」は、過去に起こったことなので、宇宙にその「証拠」が残っているのです。

宇宙の最後については、「まだ起こっていない」ことなので、その「証拠」がありません。
というか「宇宙の終わり」は「人間の終わり」でもあるので、「宇宙の終わり」については、推測するしかないのです。
現在、宇宙のおわりについて、「3つの考え」があります。
ここからは、その「3つの考え」についてお話します。
ビッククランチ

今の宇宙は、「ダークエネルギー」によって、そのスピードを上げながら、どんどん膨張しています。ですが、いつか膨張は止まり、
今度は、宇宙にある星などの物質の「重力」によって、ちじみ始めます。
そして、すべての物質が「つぶれて」しまい、ビックバンの前の状態にもどる。
というのが「ビッククランチ」という考え方です。
ビックリップ

宇宙を膨張させている「ダークエネルギー」の力が小さくなることがなく、宇宙が膨張し続けると、いつかその大きさは、「無限大」になってしまいます。
その結果、銀河・恒星・惑星などがバラバラになり、最後には、物質を作っている「原子」さえ、バラバラになってしまう。
これが「ビックリップ」という考え方です。
ビックチル
恒星(太陽など)は核融合反応によって「エネルギー」を生みだしています。
※「核融合反応」とは、原子核が合体して、そのときにさくさんの「エネルギー」を出すことです。
宇宙は膨張を続けると、この「核融合反応」すら起こらなくなります。そうなると、エネルギーがまったくない「暗くて」「凍りついた」宇宙になってしまいます。
これが、ビックチルという考え方です。
以上、「宇宙の始まり」と「宇宙の最後」についてお話してきました。「宇宙の始まり」については、かなりのことが分かってきました。ですが、「宇宙ができる前はどうだったのか?」ということについては、まったく分かっていません。
「宇宙の終わり」についても、まったくわかっていませんが、「ビックチル」の考えが、今のところ「あるのでは」となっているようです。
また、宇宙の最後は、早くても500億年~1000億年先だろうと考えられています。
宇宙は、分からないことだらけの、おもしろい世界なのです。
おしまい
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