新人社員の反応が薄い?すぐにパワハラと言われる!そんな上司の方必見!「アスペルガー症候群」と「カサンドラ症候群」について分かりやすく解説!

怒鳴っている上司と部下生活の中の科学

あなたの会社に「話を聞かない、周りに興味がない、気が利かない、でも頑固だ」という若い部下はいないでしょうか?こういう若い子は、性格が悪いわけでも、躾が悪いわけでもありません。脳の「共鳴反応」(共感力)が弱いのです。今回は、若い子に見られる「アスペルガー症候群」と上司の方がなるかもしれない「カサンドラ症候群」について分かりやすく解説します。

上司Aさん
上司Aさん

話聞いてる?やる気あるの?どうしてできないの?

何言ってるんだろう、この人。やる気あるから会社に来てるし、教えてもらわないとできないし。

新人社員
新人社員
新人社員
新人社員

上司Aさんからパワハラを受けて困ってるんですが。

なんでそうなるんだろう???

さらに上の上司
さらに上の上司

こんなこと、皆さんの会社で起こっていないでしょうか? 新人社員の「反応が薄い」と感じる方が多くなっています。

これは、共鳴反応(共感力)の弱さに原因があります。

それではまず、この「共鳴反応(共感力)が低いとどうなるのか、お話します。

アスペルガー症候群とは?

部下に注意している上司

アスペルガー症候群は発達障害の一種ですが、日常生活に支障が出るような知的障害ではありません。ただ「共感力」に乏しいのです。

ここからは、「アスペルガー症候群」について詳しくお話します。

「共感力」に乏しいとは?

人の話を聞く場合、無意識のうちに、うなずいたり、首をかしげたりと「共鳴動作」をするものです。

この「共鳴動作」があると「話し手」は安心するのです。

ですが「アスペルガー症候群」の人には、これができない。

人に共鳴できないので、人の思いや動作を察することができません。

つまり「暗黙の了解」がまったく成り立たないわけです。

ですから「察して動く」というようなことや「1を聞いて10を知る」なんてことは不可能。

例えば、会議の後、先輩社員が誰に言われるでもなく、使ったカップなどを片付ける。

ここで「じゃあ、僕がやります」となるのが通常ですが、人に共感できないため、人がしていることが認知できない。

共感できない新人社員にとって、この先輩社員の行動は、ただの風景、映像として目に映っているだけなのです。

君がやらないと。察して動きなさい。

などと注意しようものなら、

なら、言ってくれればいいのに。教えてもいないことをやれなんて、パワハラじゃない?

と、なるわけです。

これ、周りの人から見ると、「無神経で、気が利かない人」となるのですが、本人にしてみると、そんな気はありません。

むしろ、人の気持ちや、周りの状況がうまく掴めない分、神経質なのです。

それが「ルールへの固執」につながります。周囲の変化に対応できないので、自分なりの「ルール」が頼りだからです。

このため、1度決めたことは簡単に変えられないし、勝手にルールを破る人は許せない。

ですから、先輩からのアドバイスなども聞けない。もう自分の中で「ルール」が決まっているからです。

かくして「気が利かない」「反応が薄い」でも「頑固だ」ということになるわけです。

アスペルガー症候群とはこのようなものです。ここまでとは行かないまでも、「共感力」に乏しい若者が増えている、という現状があるのです。

では、なぜこのような若者はふえているのでしょうか?

それは「ミラーニューロン」という神経細胞の働きがポイントになります。

ミラーニューロンの働きとは?

人の脳には、ミラーニューロン(鏡の脳細胞)という神経細胞があります。これは、他人の行動を見て、まるで自分が同じ行動をとっているかのように、「鏡」のような反応をする細胞です。

他人がしていることを見て、自分のことのように「共感」する能力をつかさどってると考えられています。

小学校の時に、「ラジオ体操」をさほど苦労なく憶えた、という経験をされている方は多いでしょう。

ラジオ体操は、先生や上級生がしているのを「マネ」することで憶えますね。「足をこう動かして、腕をこう上げて・・・・・・」などと憶えた人はいないでしょう。

これは、ミラーニューロンによって、他人の動作をそのまま「鏡」のように、自分の脳に映すからです。

ですが、「反応の薄い若者」が増える10年以上前から、ラジオ体操を憶えられない子どもが増えました、というのです。

見本をマネしているうちに、なんとなく憶える、ということが難しい子どもが出てきたのです。

そして、そのころ「1年生の反応が薄い」ということが教育現場で言われるようになっていました。

ということは、ある年代からミラーニューロンによる「共鳴反応」が弱くなったと言えます。

「体験」の大切さ

ミラーニューロンの働きは、言葉や基本的な動作を獲得する「赤ちゃん」のときに最大限に活躍します。

その後、3歳から激減し、年をとるごとに、段階的に減らしていきます。

周囲のあらゆることに「共鳴(共感)」していたら、自分で判断ができず、自分の行動や思考をキープすることができなくなるからです。

ですが、「共感力」が低いということは、この「ミラーニューロン」を減らし過ぎてしまった結果であると言えます。

一度捨ててしまった能力は二度と取り戻すことはできません。

それでは、「ミラーニューロン」を減らし過ぎないために必要なこととは何でしょうか?

それは「体験」です。笑顔に笑顔を返して、心を通わせる。目と目を合わせる、うなずき合う、そんな「体験」が多ければ、「ミラーニューロン」の機能は残ります。

子ども同士の触れ合いが大切な時期に、1人でゲームに夢中になる。またSNSなどの世界に浸ってしまう。

そんな生活が、子どもたちの「共感力」の低下に影響していると言えるでしょう。

やはり、脳にとっては「リアルな」コミュニケーションが大切であることを再認識する必要があるのではないでしょうか?

若者の「共感力」の低下が、ゲームやスマホに起因するものかは、科学的に証明されていることではありませんが、このスマホ、ゲーム時代において、そのような若者が増えているのは事実なのです。

それでは次に、「アスペルガー症候群」の疑いがある部下を持った上司の方が、気をつけなければならない「カサンドラ症候群」についてお話します。

カサンドラ症候群とは?

悩んでる人

「カサンドラ症候群」とは、「アスペルガー症候群」の人をパートナーに持った人に現れるストレス症状の総称です。

では、詳しく見ていきましょう。

「カサンドラ症候群」になるのはなぜ?

「アスペルガー症候群」の人がパートナーである場合に、慢性的な疲労感、不眠などを経て、片頭痛や涙が止まらないほどの強いストレスを感じる状態になることがあります。

これが「カサンドラ症候群」です。

これは本来、「夫婦間」で見られることが多い状態です。

「アスペルガー症候群」の人たちは、「共感力」がとても低い。

その人に関わる者は、共感してもらえない。

夫が「アスペルガー症候群」の場合、妻は非常につらいことになります。

共感してもらえない、心を尽くしても気づいてもらえない。こうなると、自分の存在する意義すら怪しくなる。

やがて、自己肯定感を失い、自律神経のコントロールもできなくなり「カサンドラ症候群」という状態になる。というわけです。

「カサンドラ症候群」の「カサンドラ」とは、ギリシャ神話に出てくる、トロイの女王の名前です。

太陽神アポロンに愛されたカサンドラは、アポロンから「予知能力」を授かります。ですが、アポロンの愛を拒否したので、「その予言を誰も信じない」という呪いをかけられます。

真の「予知能力」がありながら、誰も信じてくれない、これは「自己肯定感」を失います。とても強烈なストレスとなったでしょう。

この女王の名前をとったのが「カサンドラ症候群」です。

では、これを「職場」に置き換えてみましょう。

上司も「カサンドラ症候群」に?

部下に「アスペルガー症候群」もしくはその疑いがあるような人がいたら、上司であるあなたが「カサンドラ症候群」になるかもしれません。

何しろ、親切に指導してやっても、うなづきもしない。やる気があるのかわからない、察して何かをするわけでもないのですから。

このような人は職場であれば、敬遠されるでしょう。でも本人には自覚はないので、

この会社は居心地が悪い。上司も理解してくれないし、何も指導してくれない。

これはパワハラだ。

となったりします。

何をしても何を言っても響かない。こんな状態が続けば誰でも嫌になり、精神的にヤラレテしまう。「カサンドラ症候群」になってしまうかもしれないのです。

では、こうならないためにはどうすれば良いのでしょう?

「共感力」のない脳でも利点はある

「共感力」のない人は、理系の天才やアスリートなどに多いと言われています。周囲に惑わされることなく自分の信じることにまい進できるからです。

つまり「共感力」のない部下だからといって、絶望することもないかもしれません。いいも悪いも周りに影響されないので、誰もが成しえないような「ビックビジネス」を成し遂げることもあり得ます。

大事なのは「コミュニケーション」の取り方であると言えます。

このような部下には「やる気があるのか?」「聞いてるのか?」「どうしてわからない」などの言葉は禁句です。

「こんなことまで言わなくていいだろう」「こんなことは察してくれるだろう」などという「希望」は捨てなくてはいけません。

ではどうするか? 1から10まですべて指導すればいいのです。

会社内では「こういうヤツだから」で済むかもしれませんが、外部との関りの場合、それでは通らないことも多いですよね。

ですから、すべて教えるのです。「聞いてるの?」「やる気あるの?」と聞かれたら、

新入社員
新入社員

そう見えなかったなら申し訳ありません。聞いています(やる気はあります)

「どうして、やらないの?」と聞かれたら、

気が利かなくてすみません。どうすればいいか教えてください。

新入社員
新入社員

などと答えなさい、と教えれば良いのです。きっと分かってくれるはずです。「共感」できないからと言って、決して性格が悪いわけでもなければ、頭が悪いわけでもないからです。

1から10まで教えるというのも結構なストレスかもしれませんが。

終わりにかえて

以上、「反応が薄い」「やる気があるのかわからない」という新入社員は、「共感力の低さ」に起因することをお話しました。

「アスペルガー症候群」は「共感力」が著しく低下している人の状態ですから、あなたの会社の新人さんが、「アスペルガー症候群」と言えるまでの人なのかは分かりにくいかもしれません。

今の若者の「共感力」の低下が、スマホの普及やゲームによる「リアルな体験の不足」が原因なら、これからも増える可能性が高いと言えます。

私は50代ですが、もう私たちの感覚が古いものになってしまうかもしれないのです。

「人の気持ちを察して動く」「1を聞いて10を知る」という言葉が「死語」になるときがくるのかもしれません。

もちろん、すべての若者たちの共感力が低下しているわけではありません。

通り一辺倒ではなく、その人に合った「コミュニケーション」の仕方が求められている時代だ、と言えるかもしれませんね。

おしまい

この記事を書いた人

50代になり人生をやり直すため、ブログを始める。
元小学校教師。その豊富な知識を生かし、生活の役に立つことや、生活をより豊かにするための情報を、楽しく・分かりやすく発信します!

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