テレビなどで、宇宙ステーションの中で人がふわふわと浮いている様子を見たことがあるでしょう。なぜ「体が浮くのでしょうか?」宇宙は無重力だから? いえ、そうではありません。宇宙は無重力ではないのです。ではなぜ? 今回は、「重力」について、小学生にも分かるようにやさしくお話していきます。
宇宙ステーションの中で、体がふわふわ浮いてるのは、「無重力」だからでしょ?
こう勘違いしている人は多いのではないでしょうか?
ですが、体が浮いている原因は「無重力」だからではありません。
宇宙ステーションの中は「無重力」なのだ、だから体が浮くのだ。と思っている方は多いのではないでしょうか?
でも変ではありませんか?
宇宙ステーションの中の映像を思い出してみてください。
もし「無重力」なら「空気」だってもちろんありません。
空気がないなら、「宇宙服」を着ていなければ死んでしまいます。
でも中の人は「ふつう」の格好をしていませんか?
ふつうの服を着て、ふわふわと浮いていますよね。また「話」だってできます。
それは宇宙ステーションの中は「無重力」ではないからなのです。
では、宇宙ステーションの中では、一体何が起きているのでしょうか?
ステーションの中で体が浮くのはなぜ?
ここからは、宇宙ステーションの中で、体が浮く「しくみ」や「重力」についてお話していきます。
宇宙はそもそも「無重力」ではない?
宇宙ステーションのお話の前に、「宇宙」と「重力」のお話を。
「さすがに宇宙は無重力でしょ?」と思うかもしれませんが、宇宙空間も無重力ではありません。
宇宙にはたくさんの星があります。太陽系なら、「太陽」「地球」「火星」「月」など。太陽系以外なら、たくさんの星が集まった「銀河」など。
これらの星たちは、お互いに引っ張り合っています。この、物と物とが引っ張り合う力を「重力」と言います。
重力はどんなに離れても、その力の大きさが「0」になることはありません。
たとえ「宇宙のはじっこ」でも、何かの重力の影響は受けます。
ですから、宇宙空間も決して「無重力」=「重力が0」ではないのです。
宇宙ステーションの中はどうなっている?
宇宙ステーションの中が「無重力」ではないのなら、一体どんなことが起きているのでしょうか?
エレベーターで下に降りるとき、なんとなく「ふわっと」浮く感じがしませんか?
その「ふわっと」感の大きいことが、宇宙ステーションの中でも起きているのです。
上の図のように、エレベーターが止まっているときは、地球の重力により、「重さを感じる」ので、足は床についたままです。
では、そのエレベーターが、地面に向かって「落ちていったら」どうなるでしょうか?
例えば10000階建てのビルから落ちるとしましょう。
この時、エレベーターはどんどんスピードを上げながら落ちていきます。
これを「自由落下」と言います。
このとき、エレベーターの中では、下向きの重力がかかります。
このままでは、下向きの重力の力で、人は床におされて、床にへばりついてしまいます。
そうならないのは、エレベーターが上で止まっているときの状態を保とうとする、上向きの「慣性力」があるからです。
下向きの重力と上向きの慣性力がつりあうと、体は「重さ」を感じずに、エレベーターの中で「ふわふわ」浮くことができます。
このような状態を「無重量状態」と言います。「無重力状態」ではありません。
「慣性力」とは? ※分かる人はとばしてください
バスが急に止まって、前につんのめったことはありませんか?
物体は、何かの力が加わらない限り、今の状態を保とうとします。これを「慣性」と言います。
この「慣性」に従って、バスの中の人は、「前に進み続けようとします」
それなのに、急にバスが止まってしまうものだから、中の人は「前に進もう」として、前につんのめってしまうのです。
この「人がまえに進み続けよう」とする力を「慣性力」と言います。
この「無重量状態」が「宇宙ステーションの中」で起きているのです。
ですが、エレベーターはこのまま落下していくと、地面に激突してしまいますね。
なぜ、宇宙ステーションは、地球に落ちて、地面に激突しないのでしょうか?
宇宙ステーションは地球に落ち続けている?
宇宙ステーションは、地球の重力に引っ張られているため、地球に向かって「自由落下」しています。
ですが、「横に動こうとする」慣性力があるために、地球に激突しないでいられるのです。
上の図のように、重力と慣性力がつりあっているので、宇宙ステーションは地球の周りを周ることになります。
もし「慣性力」の方が大きければ、宇宙ステーションは宇宙のかなたへ飛んで行ってしまいます。
また、「重力」の方が大きければ、宇宙ステーションは地球に激突してしまいます。
そして、宇宙ステーションの中でも、さっきのエレベーターの中と同じように、「重力」と「慣性力」がつりあっているので、「ふわふわ」と浮くことになるのです。
どうでしょう?
分かってもらえたでしょうか?
今回のお話は、これで
おしまい
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