2022年4月から、高校の「家庭科」の授業の中で、「投資」について扱うようになりました。前回の「株投資の話」に続いて、今回は「投資信託」と「FX」の仕組みについて、高校生にも分かるようにやさしく解説します。こうしたら儲かりますよ、という記事ではありません。

まずは「投資信託」から。投資信託は英語で「ファンド」と言います。株投資などは、素人では儲けることは難しい。では「プロ」にやってもらう。というのが「投資信託」です。また、投資信託は「株投資」だけではありません。
「投資信託」の仕組みとは?

個人で株式投資をしようと思っても、専門的な知識なども必要で、お金を増やすことは難しい。
では「ファンドマネージャー」と呼ばれる「プロ」にお金を預けて運用してもらおう、というのが「投資信託」です。
ここでは「株投資」と「債券投資」についてお話します。
では、その仕組みを詳しく見ていきましょう。
株運用をお任せ!

「信託投資」のメリットは、運用のプロに任せられるということだけではありません。
1人1人の資金が少なくても、何千人・何万人がお金を出せば、何十億・何百億もの資金になります。
その高額な資金で、いろいろな会社の株を買って、利益を出すことができるのです。出た利益は「分配金」として、投資した人に配られます。
プロがしている工夫とは?
「投資のプロ」は、利益を追求するのはもちろんですが、「損害を出さない」ように工夫をしています。

1つの会社に投資すると、倒産するなど、リスクが大きくなることがあります。そのリスクを減らすために、複数の会社の株に分けて投資します。
また、株だけでなく「債券」に投資する場合があります。
では、「債券」とはなんでしょうか?

「債券」とは借金の証明書だと思ってください。
債券を発行した会社は、債権を買ってもらったお金の資金として仕事をします。
そして、後で「利子」をつけて返します。
債券を買った人、つまり投資をした人は、その債権を、3年・5年・10年と長く持っていると、その間「利子」を受け取ることができます。
そして、「満期」がきたときに、債権を買った元々のお金(元本)に利子がついて戻ってくるのです。
「国債」という言葉をよく聞くと思うます。この「国債」も債券の1つです。
これは、国が借金をするときに発行するもので、何年か後に利子がついて返ってきます。この利子分が儲けになるわけです。
投資信託で考えなければいけないこと
では、私たち「資金を出す側」は何を考えて、信託投資をすればよいのでしょうか?
難しいのは、投資信託をどのような基準で選ぶかです。
最初に言ったように、投資信託は「株投資」だけではありません。
「公社債投資信託」といって、株式は組み入れず、国債や社債などの「債券」と中心に運営するものもあります。
また、マンションやオフィスビル、商業施設などの「不動産」を購入して、賃料や売却した場合に出た利益を分配する「不動産投資信託」という物もあります。
「投資信託」は証券会社に注文して買うことになるのですが、証券会社からではいろいろな商品が出ています。
何が良いのか、しっかり判断して買う必要があります。
そして、「投資信託」を買う場合には、「手数料」がかかります。タダでは運営してくれないのです。
一般的に、「腕のいいプロ」のいるところは手数料は高くなります。
プロと言っても人間です。間違いもあります。プロに託したからといって、必ずしも儲かるわけではないことも注意が必要です。
「FX」って何?

「FX」という言葉、最近よく聞くことが多いのではないでしょうか?なんかカッコ良さげな言葉ですよね。
FXとは、「Foreign Exchange」の略です。日本語でいうと「外国為替取引」と言います。
ですが、最近では「外国為替証拠金取引」という意味に使われることが一般的です。「外国為替取引」とは区別されています。
この「証拠金」というところが、FXの特徴になります。

言葉はなんだかややこしいですが、「仕組み」自体は非常に簡単です。
それでは、まず「外国為替取引」とは何かについてお話します。
「外国為替取引」とは?
これも簡単なことです。
※このへんは分かるという人は飛ばしてください。
あなたがハワイに旅行に行くとしましょう。

ハワイにいくなら、日本の円をドル(USドル)に替えなければなりませんね。
「1ドル=100円」なら、1000ドルを100,000円で交換できます。
「1ドル=50円」なら、1000ドルを50,000円で交換できます。
「交換」という言葉を使っていますが、これを「買う」と言いかえても行為としては同じことですね。
このように、通貨を買ったり、売ったりすることを「外国為替取引」と言います。
※「為替」とは「替えるのを」「為す」ということです。
FXの基本は、この「通貨の売買」」です。
通貨の売買で「儲け」を出すとは?

今「1ドル=50円」だとしましょう。あなたはこう考えます。
「そのうち1ドル=150円になる(円安・ドル高)はずだ」と。
つまり、ドルが高くなるだろうと予想するわけです。ではどうするか?
ドルが安いうちにドルを買います。今なら「1ドル=50円」なので、50円で1ドルが買えます。
そして、あなたの予想通り「1ドル=150円」になった。あなたはここで1ドルを売って、150円を買います。
すると「100円」儲けることができるのです。
このように通貨の売買の「差額」で儲けよう、というのが「外国為替取引」の仕組みです。
FXの特徴とは?
「FX」も今お話したような「外国為替取引」と基本的には同じです。では何が違うのか?
それが初めにお話した「証拠金」です。

今、あなたには1万円の資金があるとしましょう。「1ドル=100円」なら、20ドルしか買えません。
ですが、この1万円を「証拠金」として預けることで最大25倍の25万円で取引ができるようになるのです。
つまり「FX」は実際の現金は必要としません。25万円の取引をするのに25万円の現金は必要ないのです。
必要なのは1万円の「証拠金」だけ。ということなんです。
投資額が大きければ大きいほど、儲けも多くなることは想像できると思います。
ですが、もちろん「損害額」も大きくなります。
取引によって儲けが出た場合には、「証拠金」にその分が加算されます。逆に損した場合、損した金額が「証拠金」から引かれます。
もし、25万円の取引をして、1万円の損害がでたなら、元金の1万円は無くなってしまいます。
やっぱり簡単じゃない?
話の例として「ドル」を扱ってきましたが、もちろんユーロなど世界中の通貨での取引が可能です。
証券会社や銀行で申し込みができて、口座を作れば誰でもできます。
「株取引」は取引市場が開いている午前9時~午後3時までの間でしか取引できませんが、FXは24時間取引ができます。
何時でも取引できるので、サラリーマンの方が帰宅してから副業として取引する、というケースも増えています。
ではそんなに簡単に儲かるのか?
通貨が上がるか下がるか、そのレートの変動を見極めるのは非常に難しいと言われています。
レートに影響する要因は様々。
国際情勢や国際経済、日本経済をしっかり勉強していないと、レートの変動を予測することはできません。
「FX」は少ない資金で、大きな投資ができることで人気がありますが、儲けるのはやはり難しいということですね。
終わりにかえて
前回の「株投資」に続いて、「投資信託」「FX」について解説してきました。
できるだけ分かりやすくしたつもりですが、どうだったでしょうか?
「投資」で儲けている人は確かにいます。
そして、儲けている人が「こうすればあなたも儲かりますよ」といった情報もあふれていますね。
でもそれは、プロ野球選手が「こうすれば、あなたもホームランを打てますよ」と言っているのと同じです。
ちょっと技術的なこと聞いたからといって、ホームランが打てますか?打てないですよね。
「投資」もそれくらい難しいことなのです。
今は「投資」もネットで気軽にできるようになりました。ですがやっている人すべてが儲かる世界ではありません。
損をする場合も充分に考慮して「投資」をすることをお勧めします。
おしまい
※「株投資」について詳しく知りたい方はこちら
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