円高・円安という言葉は、ニュースなどでよく聞くと思います。では「円高」になるとどうなるのか?「円安」になるとどうなるのか?はっきりわかる方は案外少ないのではないでしょうか。今回は、「円高・円安」は、私たちの「家計」にどんな影響があるのか、ということについて分かりやすく解説します。

「円高・ドル安」なんてよく聞くけど、私たちの生活にどんな関係があるのかしら?
「円高」と「円安」私たちにとって、得なのはどっちなの?

よく聞く言葉でも、意外とその内容がよく分からなかったりしますよね。今回は、「円高」「円安」とはどういうことか?また、それが私たちの生活にどんな影響があるのか?についてお話します。

・「為替」について分かる
・「円高」「円安」がどういうことか分かる
・「円高」「円安」のどちらが良いか分かる
円高・円安とはどういうこと?

ここからは、「外国為替」って何?「円高・円安」とはどういうこと?についてお話していきます。
外国為替って何?
円高や円安になるということは、「外国為替」のレートが変わる、ということです。
では、「外国為替」(以下「為替」)とは何でしょうか?
海外旅行に行くときは、「円」をその国で使えるお金に替えますね。フランスに行くなら「ユーロ」に、ハワイに行くなら「アメリカドル」に。
このように、「円」を他の国のお金に替えることを「為替」と言います。
ニュースなどでは「円高・ドル安」とか「円安・ドル高」などの言葉はよく聞くと思いますが、
「円高・ユーロ安」「円安・ユーロ高」って言葉は聞かないですよね。
それは、日本にとって最も大切なのが、「アメリカドル(USドル)」との関係だからです。
USドルが№1
なぜ、USドルとの関係が大切なのでしょうか?
それは、世界中に出回っている通貨の中で、「USドル」が一番「信用」があり、最も流通している通貨だからです。
※ちなみに「円」は第3位の流通量です。結構「信頼度」が高いのです。
例えば、どこかアジアの国とアフリカの国が貿易するとしましょう。
ここで問題になるのは、どの通貨で取引するか?ということです。
アジアの国が「アフリカの通貨はいらない」
アフリカの国が「アジアの通貨では困る」
となった場合、「じゃあ、USドルで取引しようよ」ということになります。信頼度が世界№1のUSドルを使う方が、お互いに都合がいいのです。
このようなことが、世界中のどこの国でも行われています。ですから、「ドルとの関係」はとても大事なのです。
「円高」「円安」とはどういうこと?
では本題です。
昨日は「1ドル=100円」だったのに、今日は「1ドル=50円」になった。
これは、「円高」になったのでしょうか?それとも「円安」になったのでしょうか?
答えは「円高」になったのです。
それでは、なぜ「1ドル=50円」の方が「円高」なのでしょうか?

アメリカ製の1000ドルのバッグを買うとしましょう。
「1ドル=100円」の時は、1000ドルのバッグを買うのに、100,000円必要になります。
円高になって、「1ドル=50円」になると、同じバッグと買うのに、50,000円ですみます。
「円高」」になるということは、「円の価値が上がる」ということなのです。
では今度は、昨日まで「1ドル=100円」が、今日は「1ドル=200円」になったとしましょう。これは「円安」です。

「1ドル=100」では、100,000円で買えたバッグが、「1ドル=200円」になると200,000円かかってしまいます。
つまり、「円の価値が下がった」のです。これが「円安」ということです。
円高と円安のどちらがいいのか?

それでは、「円高」「円安」のどちらが、私たちの生活にとって有利なのでしょうか?
ここからは、そんな話です。
結論から言うと、どちらがいいとは言えません。その人の「立場」によって違うのです。
では、詳しく見ていきましょう。
「円高」で有利なこと・不利なこと
まず、円高は「輸入」に有利になります。
先ほどの「バッグの話」を「輸入」に替えてもいいのです。
「1ドル=100円」の時は、1000ドルのバッグは、100,000円で輸入できますが、円高になって「1ドル=50円」になると、もっと安い500,00円で輸入できます。
仕入れ値が安くなるので、輸入したバッグを、日本で安く売ることができます。
日本は「石油」のほとんどを輸入に頼っています。円高になると、ガソリンや灯油などが安く買えるようになります。
私たち消費者にとっては、「円高」は有利になることがあります。
また、海外旅行する人に有利ですね。
1ドルを100円で交換するより、1ドルを50円で交換できる方が「お得です」
逆に、円高は「輸出」には不利になります。

自動車をアメリカに輸出するとしましょう。1台の値段は100万円です。
「1ドル=100円」のときは、アメリカ側は1万ドル出せば買えます。
ですが、「1ドル=50円」の円高になりと、同じ車でも2万ドルも払わなければ買えなくなります。
「こんな高い車は買えないよ」ということになり、輸出は減少するでしょう。
日本で、輸出によって商売をしている人にとっては、アメリカが物を買ってくれないことになり、売り上げが下がりますね。
「円安」で有利なこと・不利なこと
「円安」になると「円高」の逆になります。
今度は「輸入」が不利になります。

日本は、消費する小麦のほとんどを外国からの輸入に頼っています。
「1ドル=100円」のときは、100ドルの小麦を、10,000円で買うことができましたが、
円安になって「1ドル=200円」になると、同じ小麦を20,000円で買うことになります。
小麦は、パンや麺類の原料として大事なのです。高くなっても買わないわけにはいきません。
小麦だけでなく、日本はいろいろ物を輸入に頼っています。だから、円安になると物価が高くなったりするのです。
逆に、「輸出」には有利になります。
先ほどの「自動車」の例で言うと、「1ドル=100円」のとき、日本の100万円の自動車を、アメリカは1万ドルで買います。
円安になって「1ドル=200円」になると、今度は5,000ドルで買えるので、アメリカはたくさんの自動車を買ってくれることになります。
また、外国人観光客にも有利です。1ドルで交換できる円が、100円から200円になるのですから。
この記事を書いているのは、2022年。コロナ禍で外国人観光客はほとんど日本に来ていません。
ですが、コロナ前には、大勢の外国人観光客が日本にやってきて、デパートなどの売り上げが大きく伸びた、ということが起きました。
外国人観光客が多いか少ないか、ということは、日本の景気に大きな影響を与えます。
「円高」になったり「円安」になったりするのはなぜ?

それでは、「円高」「円安」というように円の価値が変化するのはどうしてなのでしょうか?
ここからは、そんなお話です。
投資家がカギ?
円の価値は、日々変化しています。ニュースで「今日は1ドル=〇〇円で、昨日より円高です。」などと言っているのを聞いたこともあるでしょう。
それは、それほどこの情報に価値があるからなんです。
では、どうして毎日のように円の価値が変動するのでしょうか?
※「円高・ドル安」「円安・ドル高」と「円」と「ドル」をセットで言ったりしますね。今回はこのセットを使います。
投資家の存在が円の変動に大きな影響を与えています。
お金の売り買いは、物の売り買いと同じです。1ドルを100円で買う、また1ドルを100円で売る、ということが日々行われています。
「FX]という言葉を聞いたことのある方も多いでしょう。ドルや円などの通貨を売り買いすることで、その差額が「儲け」になる投資です。
投資によって「円高」「円安」になる?
詳しく見ていきましょう。
※分かりやすいように、お金の額を小さくしています。

投資家が、「円高になりそうだ」と予想すると、ドルを売って、価値の高くなる円を買います。
予想が当たれば、1ドルもうけることができますね。
このように、「円の価値が上がる(円高になる)だろう」と多くの投資家が考えると、円を買う人が増えて、円の価値は上がります。
反面、ドルはどんどん売られるので、その価値は下がります。
つまり「円高・ドル安」になります。
この逆を考えてみましょう。

「こんなに円高が続くわけはない、そろそろ円は安くなるだろう」を予想すると、円を売って、ドルを買います。
このように考える投資家が多いと、円はどんどん売られて、ドルが買われます。すると、ドルの価値は上がり、反面、円の価値は下がります。
つまり、「円安・ドル高」になります。
投資の予想の根拠はいろいろです。
例えば、「アメリカの政権が上手くいっている、景気が上がりそうだ」となると、「ドルが上がる」と予想して、円をドルに替えたり、
「いや、日本の景気が良くなりそうだぞ」と予想すると、ドルを売って、円を買う、と言う人が増えたりします。
もちろん、投資家も予想は外れます。ですが、このような「売り買い」が、数分単位で、世界中で行われているのです。
投資家の動向によって、「円高」「円安」に影響し、私たちの生活にも関係してくるのです。
まとめ
以上、「円高」「円安」についてお話してきました。
ニュースで「円高」「円安」と聞いても、それが自分の生活にどのように関わっているか、はっきりとは分からなかった方も多いでしょう。
「円高」「円安」は、物価などに影響するなど、私たちの生活に直接関わることなのです。
いつも素通りしてることも、立ち止まって考えてみると、以外に大切であることも多いのです。
おしまい
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